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家に帰って着替えて健太郎先輩の迎えを待つ。
自分でもわかるぐらい、そわそわと落ち着きがなくなって時計をチラチラと見てしまう。

(あ‥…)

そういえば鞄にクリスマス・プレゼントを入れてなかった。
誕生日も悩んだが今回も悩んで悩んだ末に買ったもの。
‥…っといってもドリップ式の珈琲なんだけど。

可愛らしくラッピングされた箱を崩すことがないように静かに鞄の中に入れる。

これで準備完了。
健太郎先輩がいつ来ても万全の状態で出掛けることができる。



それからすぐの事だった。
"ピンポーン"と軽快にチャイムが響く。

急いで扉を開けると私服の健太郎先輩。

「ごめん、待たせた。
行けるかな?」

「練習お疲れ様でした!健太郎先輩のこと思っていたら時間なんてあっという間に吹き飛びますよ。
それじゃ、出発です!」

れっつごー、と片手を上げるともう片方の手を健太郎先輩が握ってくれた。





健太郎先輩が言っていた"あの店"は例の珈琲の美味しいお店。

クリスマス限定で特別なメニューを出してくれるとの噂を聞き、健太郎先輩を誘った。

‥…っというのは口実で期末試験もあり、あまりデートができなかったから二人で会いたかったのが本音だ。

「‥…あ、そういえば健太郎先輩。
限定メニューはケーキセットなんですよ」

席につき、メニューを捲る。

「ケーキセットか
霧姫は何にするの?」

「ブッシュドノエルです!
クリスマス限定と言われたら食べたくなっちゃって‥…」

「限定品は心惹かれるよね
なら、俺は‥…」

メニューを見る健太郎先輩もカッコイイなぁ、と思いながら待っていたら

「見つめすぎ」

とメニューで顔を隠されてしまった。
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