V



それからの俺は霧姫をずっと気にかけていた。

同じ世界を見て彼女は何を考えるのだろう。
何を思うのだろう。

それが気になってしょうがなかった。


無意識のうちに彼女の姿を探し求めていた。

その感情を"恋"だということに気づくのは少し時が経ってからだが、当時の俺は気持ちの変動に不思議と戸惑いと驚きを感じていた。



霧姫を知って1ヶ月経った頃。
定期考査が実施された。
結果は下駄箱前に掲示され確認するようになっている。
結果は見なくてもわかっているが‥


「やっぱりな」


相変わらずの2位。1位は花宮。
もう既に出た結果に言うことも興味すら湧かない。
さっさと教室に戻って寝よう‥と貼り出された紙から目を逸らすと

"2位 493/500 雨宮霧姫"


そこには1年の順位が書かれていた。
そこにあった霧姫の名。
今回の1年は上位成績者の点数争いが激しいと聞いてはいたが‥


「1位と2点差とはね‥」

1位とたった2点差。
3位とは大きな差で上に立っている。

(あの子、面白い思考を上に頭までいいのか)

彼女の名前を見つけて顔がほころぶ自分がいた。
ここまできて漸く彼女に心を奪われたことに気づいたのだった。


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