ウチの末弟(兄)かわいいんですけど | ナノ




にやにや



ガチャッ


「なぁメフィストー………」


何の遠慮も無しに開け放ったドアから室内を見た燐は固まった。

理事長室のふかふかソファ。そこに理事長室の主であるメフィスト・フェレスその人が横たわっていたからである。


「………寝てんのか?」


無造作にマントやハットを放り出した姿でソファに横たわるメフィスト。
見たことの無い彼の姿に好奇心を抑えきれなかった燐は忍び足でソファに近寄り観察する。

長いソファへ仰向けに寝転んでいる彼は、上半身を胸の前で指を組み合わせている聖人スタイル、下半身は長い脚を持て余すように片方を立て、もう片方はソファから投げ出すという、なんともちぐはぐなポーズ。
心なしかしんなりしているアホ毛。整った顔立ちに閉じた瞼を縁取る意外と長い睫毛。悪魔だからか疲れているのか理由はわからないが、相変わらずの不健康そうな肌色。

どれも間近でじっくり見たコトの無いものだ。


「…………………」


何となく無言で見つめてしまう燐。
同じ男として悔しい。特に背の高さ。


「……そんなに高いなら少し分けてくれりゃイイのに。弟より背が低い兄貴とか格好つかねえもん…」


脳裏に自分より上背もガタイも育ってしまった弟の姿を思い浮かべながら再度メフィストの顔を覗き込む。


「…………如何な悪魔でも流石に身長を分け与えるのは無理な話ですねぇ」

「っ!!お、起きてたのかメフィスト……」


目は閉じたまま口だけ動かしたメフィストにビクンッと飛び上がる燐。


「耳元で喋られれば誰だって起きますよ。まぁ元々眠りは浅い方ですし」

「………悪ぃ…」

「別に構いませんよ、っと」

「っぅお!」


メフィストは燐の腕を掴んでぐいと自分の胸に抱き込む。
彼の広い胸に横たわる形になった燐は顔を真っ赤にしながら暴れたが、自分を長い腕で囲い込むメフィストの力には敵わず、むすっとした表情のままおとなしくなった。


「………やっぱズリィ…」

「今に伸びますよ。まだまだ成長期でしょう、奥村君も」

「……そうか?」

「そうですよ」

「…そうか!」


少し嬉しそうな顔をする燐をこっそり愛でるメフィスト。かわいい。

しかし彼は気付いているのだろうか。自分が成長期なら双子の弟も同じくまだ成長期だといってもいいコトに。
自分が伸びても追い越したい弟が更に伸びてしまっていたらどんな反応をするのだろう、と想像してにやついていたメフィストに「何笑ってんだよ」とツッコミながらヒゲを引っ張る燐。


「……背が高くなった奥村君を想像してただけですよ☆」

「!………そ、そっか…へへっ」


そう言えばまた頬を緩ませる燐。嘘は言ってない。想像した燐の隣へ更に背が高くなった弟がたまたま立っていただけなのだから。
更に機嫌が良くなったらしくにやつき始める燐。そしてその燐の表情にまたにやつくメフィスト。しかもまだ二人は重なり合ったままなので端から見ると不気味な事この上ない。
はっ、と燐が我に返るまでその奇妙な光景は続いた。



オワリー



ふははははは!これぞ7本領発揮の山落無意味な文章だ!(←←←)



110616









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