キミのキス
キミのキスはとても拙い。
だがそれがイイ。
まず最初に軽く唇を重ねる段階で既にぎゅっと強く閉じられている瞼。毎度の事だがそんなに緊張しなくても、と思うが口にはしない。
続けて何度か小さく啄むように口付ければ少し緊張が解れるのか彼も少し啄み返すように唇を動かす。まだぎこちない動きではあるが応えようとしてくれている事に愛おしさを感じる。
更に何度か啄んでから頃合いをみて強く押し付ければ、「んっ」と小さく息の抜ける音。
乾いた表面とは違う、ねっとりとした粘膜の触れ合う感触を楽しみながら何度も角度を変えて唇を重ね合わせる。
だがまだキスの最中に呼吸が上手く出来ないキミだから、すぐに私の胸を叩く。
呼吸の為に少し唇を離して瞳を覗き込めば恥ずかしそうに逃げる視線。頬に添えていた手でキミの唇をゆるりと撫でてから頃合いを見計らってまた唇を寄せる。
何度か深く触れ合せてから徐に舌先でキミの唇をなぞれば、その刺激にビクッと身体を跳ねさせ、そしておずおずと歯列に隙間を開けてくれた。それはキミが私を受け入れてくれるという合図。まだ刺激が強すぎるのかたまに閉め出しを喰らうのだ。
キミの熱い口内に舌を差し込む。それがキミの舌先に触れた瞬間、電流でも走ったかのように奥に引っ込むキミ。
深追いはせず先に上顎など舌以外の弱い箇所を刺激する。それにビクビクと身体を震わせるキミの反応を楽しみながらしばらく続ければ「はっ」とまた息苦しさに開く唇。
今度はわずかばかりの呼吸しか許さずに深く唇を合わせて舌を差し込み、油断したキミの舌を捕らえる。
キミの「んぅっ」というくぐもった声を聞きながら舌を絡める。ざらざらした表面、筋の張る裏側。キミは横側を舌で擦られるのが一番感じるのを知っているからそこは特に丹念に。でも容赦無く攻める。
そのうち酸欠と刺激に耐え切れなくなったキミはガクリと膝を折り、ほら、私の腕の中。
キスは続けながら抱き上げ、そのままベッドに運ぶ。
ベッドに降ろしてもう一度瞳を覗き込めばまた恥ずかしそうに逃げる視線。
そして
「…………メフィスト、も一回…」
そういっておずおずと私の首に腕を回し引き寄せるキミに逆らわずに身を屈める。
今度はキミからのチュッと小さな口付けに……ああまたそんなにきつく瞼を閉じて…。
本当にキミはキスが拙い。
だが、それがイイ。
オワリ
燐くんが頑張って自分からキスするのとか想像するだけで禿萌えます(真顔)
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