帽子との出会い




朝早くに俺は船を準備した



もうきっと戻ることはないだろう



名前に会えたのも、
昨日の夜が最後だったんだ




もう会えなくなる





そう思うたびに胸が痛んだ、





あの大好きな笑顔を俺の知らない誰かに向けて、
きっと幸せになるんだろう
そう思うと辛かった





「やっぱ返事聞いとけばよかったかな」




聞いてたらばっちり諦めてこんな思いをせずに出航できたかもしれない





「おれってばかだな」

『ほんとそれ』





後ろから聞こえた声に反応して体を振り返らせればそこにはいつもと変わらない名前がいた





『もうでるの?』

「…ルフィに最後あったらな」

『そう…』





流れる沈黙

聞こえるのは波の音

お互いに下をむく、

どうすればいいか
わからない






『エース』

「いっ!」



呼ばれて顔をあげると顔にぶつかった何か





「これって…」



おれにぶつかった何かは名前がいつも被っている帽子



『エースにあげる』



にこっと笑う彼女の頭には帽子はない





『またエースと、会えるよう、に、』







笑っているのとうらはらに泣いているかのような声色




『      』





小さく聞こえたその声におれは目を見開くとくるりと後ろを向いて走りだそうとする名前。





俺はとっさに手をとった





「今なんて…?」



そういうと彼女は顔を赤くして俺を見る




『聞こえなかったの?』


「もう一回いって?」



聞こえてた言葉の確認をする、
もう一度聞きたかった



『エースが、好き、だよ』




少し下をむいて照れながら喋る名前が可愛くて、俺はとっさに彼女を抱きしめた




『ちょ、』



俺の行動に驚く彼女も可愛くて
俺は自然に頬が緩んだ




『エース、へらへらしないの!』


「わりぃ、可愛いすぎて…」



抱きしめる腕を少し強めると彼女の細い腕が俺の背中に回った




『また、すぐ、会えるよね?』


「当たり前だろ」


微かに震える彼女の声はいつも以上にか弱かった


『その帽子お気に入りなの、大事にしてね?』



「ああ、ありがとな」





俺は彼女から離れて帽子を被った




彼女が被っていたテンガロンハット



きっと俺は何があっても
この帽子と離れることはないだろう





『いってらっしゃい』






涙を見せないようにして笑った彼女は
いつも被ってた帽子がないからか
どことなく寂しくみえた





君の帽子と旅にでる





(寂しくなんかなかった)

(この帽子で君がまた見つけてくれる)

(この帽子で繋がってる)

(そう感じたから)




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続きおわりました…!
帽子はなんらかありそう
って連想して思いついた
話でした!

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