返事は求めない




コンコンッ


辺りは暗く静かな村外れで響くノックの音



『はいはーい』


そう言って扉を開けた彼女はいつもしている帽子はなかった



『エースじゃん!どうしたの?』


首を傾げて尋ねる彼女は普段みるのとは違って見えた



『…外寒いし部屋入「おれ、明日この村をでるから」…え?』



彼女が家に入るよう薦める言葉を遮って言った言葉に彼女は驚いた表情を見せた




『海賊になるために…?』


「ああ、」


そう、海賊になるために


それとこの曖昧な関係に終わりを告げるために…





『や、だ…』





潤んだ瞳で俯いて震える声で小さく呟く彼女を俺はそっと抱きしめた





「わりィな、でももう決めたんだ」



そういって彼女の頭を撫でてやればさっき風呂に入っていたのかシャンプーの匂いと少し濡れた髪が指を通った




『エースが、いないと…、寂し、い』



途切れ途切れで話す彼女は多分泣いている




その寂しいはどう言った意味かわからねぇ



俺だって離れたくはない
このまま時間が止まればいい




そうは思うけどもできなくて…





「なァ、名前?」



そう言って抱きしめていた彼女の肩を掴んで顔を合わせた



鼻は赤くなって、目も潤んでいる彼女は、俺の心臓を一気に揺らがせる




「俺はお前が好きだよ」





やっと告げたこの想い




でももう叶うことはない想い





『え…?』




普段から大きい瞳をさらに大きくさせて驚く彼女




「ごめんな、いままでありがとうな」





おれはそういって彼女をあとにした







求めなかったのはただのエゴ



(返事を聞くのが怖くて)

(君が呼び止めたのは)

(聞かなかったふりをした)




 

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