それ俺のスタンドです | ナノ
アヴドゥルさんの帰還


「それで、彼女が件のスタンド使いと言うわけか」
(SPW財団日本支部病棟の隔離された一室に、数人の男女が集まっている)
『名前はジェイ・Z、スタンド名は“サンタ・グレール(聖杯)”らしい』
「着々と小アルカナの暗示を持つ人物が揃っておるのう」

「………なぜ、彼女はこちら側なんでしょう」
(花京院の視線の先には秋本がいる)
『わたしィ?』
「なんだ、まだこいつの事疑っていたのか」
「いえ、流石にこんな………失礼、こんなスタンド使いが刺客とは思えませんよ」
『言葉のナイフが相変わらず地味に鋭い。フォロープリィーズ』
「越美くんは中々筋が良いぞ。修行担当のワシが言うんじゃ、安心せい」
『ありがとうございます』

「………」
『確かに不思議ですね。これまで「棍棒」と「聖杯」のカードがあちら側な訳ですし、前に聞かせてもらったDIOとやらの幹部が大アルカナだったそうですから』
「きみも敵側でないとややこしいことになるのう。現にそうなんじゃが」
「そう言えば、残る一つのカード「硬貨」のスタンド使いはどうなるのでしょう」
「それは…………ん?」
(財団職員がジョセフを手招きしている。それに応じたジョセフは話し合いの場を一時離脱、数分後戻って来る)

「どうしたジジイ、んな深刻そうな顔して」
「アヴドゥルから連絡があった。その「硬貨」のスタンド使いを捕らえたので、こちらに向かっているそうじゃ」
『「何だって?」』





「お久しぶりです、と言うには早すぎる帰還ですかな」
「アヴドゥルさん!」
「そいつが今回の手土産か」
「ええ。こいつが残る小アルカナ、“硬貨(ア・コイン)”のスタンド使い」
『能力は?』
「文字通り硬貨を操り弾丸のように飛ばす能力だ。まさか今回の商売相手が敵スタンド使いだとは思わなかったな……暇潰しにコイントスで賭けないかと言われて、」
「それに応じたら襲ってきたのですね」
「ああ。しかしどうするんです、ジョースターさん?こいつらが素直に情報を吐くとは思えませんが」
「わしに任せとけ!言葉での誘導は十八番じゃからの」






『今日は一先ず帰って休め、か』
「ここの所はジョースターさんに預けておいた方が良いだろう。……承太郎、きみ今日はやけに静かだな」
「いつものことだろう」
「そうなんだけども。なんだろうなこの違和感……越美は何か分かるか?」
『ごめんな、分かんない。あ、私こっちだから』
「ああ、また月曜日」
(秋本の方に目線だけを寄越す承太郎)
「………?そういえばきみ、越美と話した?」
「さっきアヴドゥル達と話していただろ」
「それもそうか………?(何だろうな、このもやっとする空白は)」




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