それ俺のスタンドです | ナノ
拙い策


(前回までのあらすじ:敵がいたけど圧倒的不利で一旦逃げた)



(空き地まで戻りベンチに秋本を下ろす)
「(あの女のスタンドは間違いなく料理に混ぜ込んであった。おれまで水を飲んじまったのはちと不味いかもしれんな)」
『う……』
「起きたか。具合はどうだ」
『……特になんとも。あれ、ここレストランじゃあないよね』
「ああ、」


〈説明中〉


『“スタンドを飲み込ませた相手の理性を崩壊させる”……でいいのか?また地味なのか弱いのか分からない能力だなあ』
「どんなスタンドであれ……使い方さえキッチリしてれば弱い訳がない」
「(今のところおれには異常ナシ、か。まだ様子を見たいところだが越美も正気を取り戻したことだし、あのアマにのし付けてお返しに行くか)」
(グルリと空き地の入口へと向きを変える)
『お、行くんだね。私も……』

パッシィン!
『ッ!?じょ、承太郎?』
(一瞬眉根を寄せる(当社比)が、すぐにいつもの仏頂面に戻る)
「(何だ?頭の中が霞む………やばいな)いや、てめーはここにいろ」
『なんでだよ!?前の戦いではそりゃあひどいもんだったけどさ、私だって多少はいけるさ!油断さえしなければ!』
「てめー、さっきまで足手まといだっただろうが。よく疑いもせずバクバク食いやがって」
『いつもより饒舌な上に辛辣!ダブルショック!』
「(そうじゃあねえ、おれは)………ちがう、そんなことを言いたいんじゃねえ」
『?』
(承太郎の様子が明らかにおかしい)
(無言で秋本の肩に手を置き、そのまま両手を背中へ。いわゆる抱きしめるという行為だ)


『(………?…………?……………あったかいなァァァーーーーーッ!!?)』
「おれはお前を仲間だなどとは……一度も思ったことが無い」
『  なんだって?』
「黙っておれの後ろで守られてりゃあ、それで良い」ググッ
(抱きしめる力を強くし、そのまま首筋に唇を寄せ………)

ジャキンッ

「!?」
(秋本は承太郎の体をすり抜け、歩き出す)
『やっぱりあの女の子達の“言っていたことは本当だった”。おそらくあの子達も、あそこの料理を食べたからあんな攻撃的になってたんだろう』
(双方が相手を振り返ると同時に、承太郎の目鼻の先に錨が突き付けられる)
『だけど、あんたが裏でそんなこと考えてるなんてな。流石にびっくりだ、が』


『スタンドを出せ、空条承太郎。あんたの態度が気に食わない』








ドッゴオオオォォォンッ!!
「きゃあっ」「何だ!?地震?」
(揺れる店内で一人だけ冷静な女性が佇んでいる)
「わざわざ戻ってくるとは!“サンタ・グレール(聖杯)”ッ!この店にいるお客様全員に空条承太郎を襲わせろ!」
(人型のスタンドが持っていた杯の中身を撒き散らす。液体は意思を持っているかのように付着した客の体の表面を動き回り、口や耳から体内へと侵入する)

ビシッビシッ!ドガアアァァンッ!
『がはあっ!!』
(店舗の壁の一部が破壊され、秋本が背中から吹っ飛んでくる)
(その勢いで反対側の壁に叩きつけられる、が直前にスタンドを出し衝撃を軽減)
「なんだ、おれより弱いじゃあねーか。デケー口叩くぐらいならとっとと……」
《オラァッ!》
『はッ…………っぐ』
(スタープラチナの拳を間一髪で回避、その勢いで敵のいる方へと全力で走る)
(見るからに理性のタガが外れた承太郎が後を追いかける!)

「来ました……ね…!お客様、あのマナーのなっていない輩を捕獲しなさい!」
(店内の客が一斉に襲いかかる!)
『ネイビィ・ソード“濃紺の剣”!』

ジャキンッ! ギャリギャリギャリザクゥッ
(碇による全体透過!秋本の前方にいた客は全てをすり抜け倒れ込む)
『(便利っちゃあ便利だけど、透過しっぱなしにするために他に攻撃できないのがネックだなあ〜〜)っと、ちょっと失礼しますよッ』
(敵の目の前にグン!と顔を寄せる)

「逃げるんじゃあねえぞ越美ッ!てめーをぶちのめしてその態度改めさせる!」
(追い付いた承太郎は秋本の後頭部に照準を合わせ………!)


「《オォォラアアアァァァァァッ!!》」

                ドゴシャア!!!     ぐしゃっ


「がッ………!?」
(意外ッ!!殴られていたのは敵の方だった!)
(大ダメージによりスタンドは制御不可能!全ての被害者がはっとして辺りを見る)
「え、何?地震でも起こったの?」
「ああ!店員さんが血まみれだわ!」
「と、とりあえず外に出ましょ」


『…おヴェッ、ごほっ………〜っとに予想以上というか、危機一髪だった……』
(スタープラチナの拳を、自身を透過させることにより回避。そのまま敵への一撃へと繋げることを空き地のあの一件の中で思い付く。
 しかし店までの道程で散々スタープラチナの攻撃を避けることで精神・肉体共に疲弊し、透過状態が一瞬しか持たなかったため、承太郎の規格外の体が繰り出すパワーに結果2M程吹っ飛ばされたのだった)


(背中を抑え悶えている秋本に承太郎が近づく。スタンド能力は解除されている)
「………無事か」
『承太郎、正気に戻ったか?』
「…………すまねえ」
『それは後でいいから出よう。あ、ここで伸びてる女の人もちゃんと連れてかないとね。情報貰わないと』




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