それ俺のスタンドです | ナノ
変な噂?


〈一週間後、校内〉

「なあ、承太郎。最近越美と一緒にいるというのは本当か?」
「花京院。だからどうした」
「ああ、うん……その、君と越美の間に変な噂が、ね。正直君にとっては願ったり叶ったりかもしれない噂だけど、ちょっと気になることがあって」
「?」
「実は……」


「越美ちゃん、ジョジョとデキてるって本当なの?」
『あき子さんに七海ちゃん。無いよ?』
「そうなの?」
『うん。確かに最近はあの人と帰っているけど、あったとしても喧嘩買ったり調子のってる奴に気合い入れたりするだけだし』
「それを“だけ”で済ますのがいつもの貴女よね……」
「そうそう、その噂のせいで一部の女の子達は殺気立ってるから気を付けてね」
『またファンクラブの子とかそういうベタなの?』
「正直それありすぎて恒例行事みたいなものよね」
「でも越美ちゃんのこと分かってないって言うか、どうも他校の非ファンクラブの子みたいなのよ。手がかりが少なくて何とも……」
『分かった。気を付けるよ』
「「………程ほどにね」」


「成程。その……ヤンデレ?とか言う奴に越美が狙われていると」
「女の子の情報網は良く分からないけど、ジョジョの親友だからと教えてくれたんだ。君にも知らせておいた方がいいと思って」
「ああ………やばいな」
「やはり介入するのか?」
「おう。………その狙った奴の方が危険に晒されるかもしれん」
「そうか。なら……     

     ………はあ?」




〈放課後、通学路にて〉

「ごめんね、ちょっと良いかしら」
『(あ、○女の制服だ。可愛いなあ)はい、何々?』
《ガシィッ!》
『!?』
(大勢の女子が背後から出てくる)
「ジョジョの事で、話があるの」


『………それで、最近の行動に目が余るものがあると』
「そう。何でもあなた達、お互いの家を出入りしているそうじゃあないの」
「しかも貴女、ジョジョが元舎弟だとか公言しているって?ふざけるのも大概にしなさいよ!ジョジョは迷惑だと思ってるわ!」
『あー、そうなんです?(ただスタンド修行してるだけなんだが………確かに、事情を知らない人からするとなあ……元舎弟って駄目なの?ケッコー私は好きな関係だったのにな)』

「トボけてんじゃあないわよっ!それに花京院とかいう奴もいるみたいじゃない?顔は良いけどジョジョにはつり合わないと思うの」
「そうよ、女みたいな顔してさ」
『さ、さすがに男子の交遊関係にまで口を出すのは如何なものかと』
「黙りなさいよ!聞けばあんた、ファンクラブにまで目の敵にされてるようね」
「あのファンクラブも問題よ、あたし達のジョジョに付きまとってるんだから」
『むしろファンクラブがいることで統率が取れてるんじゃあ』
「黙りなさいって言ってるでしょう!」
『はいッすみません……(この子達なんかへンだな……まるで、)』


「『ジョジョは私達が管理するべき』」『とか言いそう、な……マジ?』

「そうよ!良くわかってるじゃあないの!彼は私達のアイドルなの!」
「彼の存在が私たちにどれだけの影響を及ぼしているか分からない奴等が多すぎるの。あの高校なんかに在籍する彼は可哀想だわ。どうにかして私達のもとへお連れしないと」
「でもそのためにまず貴女と花京院、ファンクラブの邪魔な面々を始末しなくちゃあいけない。それともし彼の家族が反対するようなら………ねえ、彼には家族なんて必要かしら」
「あたし達さえいれば良いの。それで彼は幸せなんだから」
(数人の女子生徒が懐からナイフを取り出す)
『……狂ってる。貴女達は悪だ』

「死んで」
(グサ、グサッ、と順番に秋本の体にナイフが突き刺さる。突然の彼女達の豹変ぶりに避けられなかった)
『………かは、………“ネイビィ・ソード”』
《ヴォン》
(血を吐く秋本の背後に現れるスタンド)

『こいつら全員、やっちゃえる?』




「………はっ、本当に、こっちなんだろうな」
「ああ、先程の子もそれらしき人物を見たと、!承太郎あの路地裏だ!」
「おう!………!?」

(路地の入り口で急ブレーキをかける承太郎と花京院)
「………なんて、こった」


「助けて!」
「なんでえ、なんでみんな私の体をすり抜けるの!?まるで……“ここに私がいない”かのようにッ!」
「反省してるのよおおおお!もうあんなことしないし言わないから助けて!」
(十数人の女子生徒が互いの体をすり抜け、壁をすり抜けさ迷っている。彼女達の疲弊している様子から見て、優に数十分はその状態であることが分かる)
(更に彼女達の足元には血の付いたナイフが幾本も転がっている)

「これは……」
『承太郎、そして花京院。しばらくぶりだね。説明は必要?』
「……ああ、頼む」


〈説明中〉


「……それで、制裁と称して彼女達にこんなことを?」
『言い方が悪いな。これは彼女達が被るべき害と言った方がいい。人のことを傷つけようとしたから巡り巡ってバチが当たったんだよ』
「ふざけるのも大概にしろ!確かに危険な思想は持っていたかもしれない、しかしスタンドを持たない彼女達にこの仕打ちはあまりにも、」
「よせ花京院」
「っ、承太郎「おれに任せな」………?」

「越美。そいつらが確かに悪いんだな」
『そうだ。下手したらホリィさんや関係無い人達まで巻き込むところだった』
「未然に防げたのは良い。しかし、これはちとやりすぎだ」
(ゴン! 強めに越美の頭を殴る)
『ヴっ』
「早く何とかしろ」
『………頭が冷えた。サンキュ』「ああ」





「結局、彼女のあの行動はなんだったんだ……こんなことを言うのもなんだが、越美は一般人にスタンドを使うことに何のためらいも持っていなかった。はっきり言えば恐ろしく異常だ」
「……思い込みが激しい、と表現すればいいのか。俺は悪というものを許せねータチだが、あいつはそれが極端だ」
「と言うと?」
「一度悪と決めつけたものには性別や倫理観なんてくそくらえ、ってやつだ。うっかり道端のアリでも踏み潰してしまいました、って軽さで何でもやりやがる」

「………その気持ちは僕にも共感できる部分があるかもしれないな」
「そうか」
「けれど全てに賛同するとは言ってない。君しかストッパーはいないのか?」
「一回殴りゃ隙が出来るからそこに正論ぶちこめばいけるぜ」
「……そんな場面に遭遇しないことをまず祈るよ」


『終わった。彼女らは無事逃げてったよ』
「怪我はさせてないだろうな」
『相手は女の子だ、見えるところに傷は作らない………冗談だ、そんな顔しないでよ。ちょっと透き通らせただけで後は何もやってない』
「そうか。

   ……ん?何か頭に、!!?その血はどうしたんだ!!」
「よく見りゃ制服にも………てめーもしかしてあのナイフ」
『そんなことよりおうどん食べたい』
「知るかそんなこと!とにかく保健室!一旦戻るよ!!」
「ナイフは証拠隠滅のために砕くか」
『お願いします』
「承太郎きみこの状況に慣れすぎだろう!できれば女性に手はあげたくないがハイエロファントの一つでもお見舞いしてやればよかった!」
『女性には紳士的に対応するものだよ花京院』
「きみには言われたくない!」



〈その頃、また別のどこか〉

「ん、今「お客様」が何人か減ったような気がする……」
「ならば更に腕を上げなければ!もっと夢中に!もっと盲目に求めてもらえる“究極の品”を!」

(女性の背後から呻き声が響く。が、女性はそれを気にも止めない)
「そうすれば私は、「天国」へ行ける」



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