それ俺のスタンドです | ナノ
特訓ですか


(ぴんぽーん、と間延びした音が響く)
『はい、どちら様……承太郎か』
「邪魔するぜ」(袋に入った箱を秋本に押し付け、靴を脱ぎ始める)
『仮にも女性の家に遠慮無く上がってくるとは。いやあ手慣れてるね……お、駅前のケーキか。サンキュ』
「おれがそんな軽い奴だとでも思ってんのか」
『女性侍らせているリア充が何を。……このやり取り久しぶりだね』
「2ヶ月前以来だな」






(ケーキの皿を片付ける秋本、リビングで相撲の中継を見ている承太郎)
『あんたと私で特訓ン?』
「そうだ。……この前の戦闘で、てめーが恐ろしく場数を踏んでいないことが発覚した」
『不良との喧嘩じゃあないんだし、タマの取り合いとかこちとら初めてよ。だからこそスタンド戦の対策をすると?』
「スタンドだけじゃない。次の刺客からは本格的にお前を殺しにやって来る……そのための心構えも作っておくに越したことはねえぜ」
『ふふ、いつもより物騒な喧嘩になりそうだ……は、』
(鼻が触れるほど至近距離に承太郎が迫っていた)

『え、な(この短時間で………いつからだッ!どうやって近づいてきた!)』
「喧嘩じゃあ、ねえ。紛れもない“殺し合い”だ」
(ク、と秋本の首に手がかけられる)
「……なあ越美」
「おれが偽物だったら、どうする?」


『ッ真っ直ぐ脳天ぶち壊し抜ける!』
「ヴッ!」
(承太郎の顎にアッパーがクリーンヒット!脳を揺らされ数歩後退!)
『それからこうだっ!』
(反対の肘を構え鳩尾に……)
「つっ………はッ!星の白金(スタープラチナ)!」
(ガシィ!とスタープラチナが秋本の肘を受け止める)

『スターさん……!いや、あんた本当に承太郎みたいだね』
「っかは、まさかいきなりやるとは思ってなかったぜ……」
(ふらふらと居間に戻り、ソファに倒れ込む承太郎)
「……冷やすモン」『はいアイスノン』「おう」

『……ごめん承太郎。あんたは味方でも油断するなと言いたかったんだよね』
「…少し違うな。始めから言わせろ」





「おれは、エジプトへの旅の中で様々な敵と戦ってきた。本気でアブねー橋を渡ったときもあったし、死ぬことを覚悟した事もあった」
『あんた、本当に何して「続けるぜ」』
「敵が味方になりすましていたり、一般人に混じっていたり。時には他の奴を巻き添えにするような下衆野郎とだって戦わなくちゃあならなかった。……大怪我もした。血も見た。およそこんな平和な日本では体験できない、体験したくもねえことだって」
『弱音?』
「さあな」

「………てめーにおれと同じような経験は似合わん。だがそうも言ってられねえ、この前の敵のおかげでそれがはっきりと分かった」
『……いざとなれば刺客達を殺してでも生き延びなければならない』
「そういうこった」
『俺が守るとか言ってたのはどこのどいつだっけ』
「………」
『冗談さね、私を守るために覚悟を決めさせてくれたんでしょう?自分が悪役にまでなってさ』
「……さあな」
『話を逸らすな。ったく、私が女だからって軽く見ないで欲しいよ』
(秋本は笑わない。覚悟を決めたような目をしている)

「………軽く見てはいない」
『知っているよ、今日はやけにお喋りだな。口も態度も』

『平気な訳じゃあない、怖いね。だけど負けないよ。私は“あんたの姉御なんだ”から』
「……」
『舎弟にはかっこいいところ見せなくちゃあね』
「……おれは、もうてめえのことは姉御と思っちゃあいねえぜ。むしろ……」

「…………いや、明日からよろしく頼むぜ。“ねえさん”」
『うへへっ任せなさい!』




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