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一時限目と二限目に渡って、体育館で風紀委員会よってに身だしなみチェックは行われる。因みに、俺らの学年は一限目に行われた。

制服さえちゃんと着ていれば、殆どの生徒はパス出来る。問題児の猛獣チワワも今日はちゃんとうちの学園の制服を着ているからおそらくパス出来るだろう。

一列に並び風紀委員が順番にチェックしていくのを待つ。今は、前方にいる猛獣チワワが風紀委員長にチェックされているのだが… 何やらからかわれていた。

朝から不機嫌だった猛獣は更に顔を顰め、今にも風紀委員長に飛びかかる勢いだったが、早乙女先生という監視が側にいる為、フーッフーッと鼻息を荒げて踏みとどまっていた。何故だか、いつもやりたい放題の猛獣チワワは早乙女先生には弱いのだ。


うちのクラスの身だしなみチェックが終わると、教室に帰り、すぐに早乙女先生の数学が淡々と始まった。

猛獣チワワは大人しく授業を聞いていて、先生に当てられると前にでて黒板の証明問題をすらすらと解く。勿論、その答えは正解だった。

猛獣チワワはよく早乙女先生の授業で当てられるのだが、問題を解けなかった姿を見たことがない。

変態なのに頭が良いなんて…勿体無い話だ。切実に脳みそだけ俺のと取り替えて欲しい。
特に数学が苦手な自分は、今授業でやっている内容についていけていない。ウチは進学校だから、これ以上置いてけぼりにされると、現実問題、非常に不味い事になる。

だけど、友達0人の俺は誰かに分からない所を教えて貰う事が出来ず、又それを聞く勇気もなかった。

猛獣チワワなら…と、前方で真面目に授業を受けているチワワに淡い期待をしてみるが、やはりまだ奴が恐くて聞ける勇気がない。しかし、何とかしなければ次の数学のテストが本気でヤバい。

気を取り直して、先生の授業に集中してみるが、やっぱり今何をしているのか全然理解出来なくて泣きそうになった。






◇◆◇



お昼休みに入り、皆各々の友達と楽しそうに弁当を広げ出す。

一人ぼっちの俺は自分で作ってきた弁当が猛獣観察以外での唯一の楽しみだったりする。
自画自賛するのも恥ずかしい話だが、料理には自信がある。味の方も舌鼓を打つほど旨いと思うのだ。だから、いつも他の人にも食べて欲しいと思うのだけど、その夢は当分叶う見込みがない。


前方で俺に背を向けて焼きそばパンを食べている猛獣チワワも今日は一人だった。

偶に、他クラスのチワワの友人3名がやってきて皆で食堂に行ったり、購買で買った焼きそばパンやメロンパンを広げて何やら熱心に討論している姿が見受けられるけれど、今日は一人でダラッと食べている。

いつも、焼きそばパンばかり食べていて飽きないのかな?
…きっと焼きそばパンが好きなんだな。俺も今度手作り焼きそばパン作ってみようかな。なんか面白そう。


そんな事を妄想していると、急に教室がざわめき始めた。猛獣チワワに意識を戻すと、そこには隣のクラスの風紀委員長がいた。何か二人で話しているみたいだが、話の内容まではここからじゃ分からなかった。しかし、相変わらず猛獣は不機嫌そうだ。








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