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【猛獣視点】


「よぉ、やっぱ似合ってるじゃねぇか。ウチの制服。」

「また、からかいに来たな。なんて悪趣味なんだ。風紀も案外暇な訳ね。」


昼くらいゆっくりと取りたいのに、心底楽しそうな顔をした風紀が目を輝かせて近づいて来た。


「そう言うなって。しかし、久しぶりだな。お前の本来の姿を見るのは。」

「今まで何とか定期検査から逃げてきたからなぁ。…流石に一回は出とかないと早乙女がうっせーし。」

「あぁ、お前の父ちゃんな。」


最早反論する事さえ面倒くさい。


「鬼島君、やっぱりここにいた…っ!」


すぐ近くから聞き覚えのある声がして、ギョッとした。恐る恐る顔をそちらに向けると何故か真弓がそこにいた。笑止。


「あ、糸島くん…せ、制服、似合ってるねっ」


真弓が俺の姿を捕らえると柔らかく微笑んだ。柔らかく。それは、柔らかく。…今の俺なんかを見つめて。


「…〜っ!!鬼島っ!何で峰を連れて来るんだよ!!」

「は?何怒ってんだ、お前。てか、顔真っ赤だぞ。」


…こんっの糞風紀っ


「糸島くん大丈夫っ…?熱でもあるんじゃ…」


あぁ…大丈夫だから、これ以上俺をその目に映さないでくれ。


「…いや、別に。」

「…だそうだ。で、峰。何か俺に用か?」

「え?」

「え?じゃなくて…お前、俺に用があってここに来たんじゃないのか?」

「あ、えっ、いや、その…」


鬼島の問いに真弓は慌てふためいていた。白い顔が徐々にリンゴの様に赤く染まっていく。








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