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「…それに、まだ答え聞けてねぇし。」
「答えって…」
まさか、この前の告白の時に私が最後放った言葉が聞こえてたのかしら?
あぁ…何て事なのっ!!私は何て失態を犯したのっ!!
思わず重い溜め息が漏れた。
「あ、あれは…その…」
咲山が急に泣きそうな顔になった。
…思えば、こんなに一途な奴。私のまわりに居たかしら。
「…まだ、分からないわ。」
「…そか。」
あぁ…私は咲山に何て事を言ってるの。
こんな、ションベン頭さっさとフればいいのよ。なのに。
はぁ…今の私って美しくないわ。嫌になっちゃう。
咲山と無駄な会話をしているうちに学校に着いてしまった。
「じゃあ俺はここで…」
こいつ…学校を更ける気ね。
「せっかく朝早くに来たんだから出席して行きなさい。」
「…」
「それから何処へでも好きな所へ行けばいいわ。」
「…うん。」
嬉しそうに笑う病原菌にまた小さく胸が鼓動する。
早速、病魔に侵されたみたいね。
この日を境に、あの不真面目な咲山が毎日学校に顔を出すようになった。
別に。咲山が学校に来るも来ないも私には関係はないのだが。
◇◆◇
朝から貧血気味だったので、1時間目の途中に担任に断りをいれ、保健室に行って寝かせて貰った。
私は学校では病弱な優等生で通ってるから、大概のことは受け入られる。
優等生の方が得が多いのに、敢えて不良に走る人達って馬鹿なのかしら?あ、馬鹿だから不良に走るのね。まぁ、そんな事はどうでもいいわ。
あぁ…ふかふかのベッドで眠る私って、さしずめ眠り姫って所かしら?もしくは白雪姫?
そんな優雅な時間を過ごしていたのに、…何でこの虫は此処にいるのかしら。
「…ちょっと。レディーが寝てるのよ。勝手に入って来ないでよ。」
虫が出て行く気配はない。
「…サボりに来たら、なんか先生が用事あるからって留守番頼まれた。」
咲山はそう言って、ベッドの横の椅子に腰掛けた。
「…大丈夫か?」
「大丈夫よ。それと、アンタのベッドは隣。さっさと寝れば?」
「…ここにいちゃ、だめ?」
…何て顔をするの、この虫は。切なそうに視線を泳がしてるなんて。咲山のくせに有り得ない。
「…いいわよ。」
「ほんと?」
「ただ、私があんたに手を出さないっていう保証はないわよ。」
「えっ」
咲山の顔が真っ赤に染まる。
最近の私は可笑しい。咲山のこういう表情を見ると胸が騒ぐ。だって、咲山みたいな不良生徒がこんな顔したって全く可愛くないのに。可愛くない筈なのよ。
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