(2/3)




学校の裏まで来ると、酒井君は俺に向き直った。


「さてと…瀬戸君。そろそろ返事を聞かせて貰いたいんだけど。」

「返事…って何の?」


すると、酒井君の端正な顔がみるみる内に歪んでいった。


「勿論、告白の返事だよ。」

「告白…あ。」


思い出した。俺、酒井君に告られたんだっけ。


「まさか、忘れてたの…?」

「いや、まぁ。その…」


あの時は他の事で頭が一杯だった。


「…酒井君はホモなの?」

「…今更?というか、瀬戸君がそういう事言うの?」


…なんか酒井君ってこんなにキツい感じだったっけ?


「…俺はホモじゃねぇよ。」

「じゃあ、高橋君とはどうなの?」

「それは…」

「あー…ごめん。本当はそんな事を聞きたいんじゃないんだ。…俺は君が好きなんだよ。入学した時からずっと。一目惚れなんだ。」


酒井君は頭を抱えて眉間に皺を寄せた。





「…ごめん。どうやっても俺は酒井君の気持ちには答えられない。」

「…高橋君が好きなの?」

「…好きだよ。」


酒井君の目は悲しげで、その目を見ていたら俺まで悲しくなってしまった。
暫く沈黙が続いた。

時が止まった、と言った方が近いかもしれない。


「酒井君。」


酒井君は俯きがちになった顔をあげた。


「こんな俺を…好きになってくれて、ありがとう。」

「…」

「嬉しかった。」

「瀬戸君…それは残酷だよ。」


酒井君は切なげにそう言うと、静かに歩き出し、急にピタッと立ち止まった。


「…高橋君のどこがよかったんだい?」


俺は少し考えてから「可愛い所」と答えると、酒井君は大笑いをしてその場を去っていった。



 





戻る

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -