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「なぁ、奈良崎。名前、何てーの?」


奈良崎の言葉に無視して話し掛ける俺にキレて、奈良崎は俺の右頬を殴ってきた。


思っていたよりも強い力だった為、頭がぐわん、と揺れた。

正直、今の一発で倒れなかった俺を誰か褒めて欲しい。



「…最近、よく右をやられるんだよなー。どいつも気安く殴ってくれるよ。」


口内に血の味がじわりと広がる。


「…てめぇ、俺の事知らねぇのか?俺に力で適う奴はいねぇんだよっ、…分かったら二度と俺に声掛けんなっ」


奈良崎は俺をこれでもかって位に睨んだ後、自分の部屋に戻ろうとした。




…冗談っ。この俺を殴った上に、そんな口利く奴をあっさり返す訳ないでしょ。



俺は後ろ姿の奈良崎の腕を捕んだ。




「…てめぇ、何のつもりだ?殺されてーのか、ゴラァっ」


「俺さ。本当なら今頃、女子に囲まれてるはずなんだよね。それが、急にこんな監獄みてーな所に放り込まれたんだ。俺には最初から楽しむ事しか許されてねーんだよ。…分かるか?だから、この俺が苦痛を感じるなんて事は論外なんだよ。お話にならない。」

「…何言ってんだ、てめぇっ」

「自分に力で適う奴は居ないって言ったよな、奈良崎?なら、今から俺の腕を振り解いてみろよ。」


俺はそう言うや否や、奈良崎のもう一方の腕を取り、奈良崎の背中に一つに纏めた。


「…上等だ、コラっ!!」


奈良崎は後ろに一纏めにされた腕を振り解こうともがく。



しかし、どうしたものか。俺の手は奈良崎の力に全くびくともしない。


「……っ、離しやがれっ!!!」



奈良崎は体を激しく動かし、こちらを威嚇してきた。


「おいおい…口程にもねーな。お前より体格ちげー奴にいいようにされて。」


俺は奈良崎のベルトを素早く外し、それで奈良崎の腕を特殊な縛り方で簡単に解けないようにキツく縛った。


「…っ痛ってーなっ!!この野郎っ外しやがれっっ」



奈良崎を軽く押すと、奈良崎は足を縺れさせ、前からフローリングに倒れ込んだ。


奈良崎の胸ぐらを掴んで仰向けに叩きつける。

頭を強く打ったのか、目をキツく閉じて痛みに耐えている。





「…なぁ、奈良崎。名前教えてくれよ。おまえの口からな。」


俺は奈良崎とキスが出来そうな距離で問いかけた。


「…死んでも、言わねっ。てめぇ、…覚えとけよっ。ただじゃ済まさねー、からなっ」

「そんな格好して…説得力ねーよ、お前。」


奈良崎の上に覆い被さると奈良崎のシャツに手をかける。


「………何する、気だ。」

「セックスに決まってんだろ。」

「俺はホモじゃねぇっ!!」

「俺もちげーよ、クソがっ。女が大好きだ。」

「…だったらっ、」

「俺は楽しむ事しかしない。だから、今日からお前を女の代わりにするんだ。」


俺の言葉を聞くと、奈良崎の顔は目に見えて青くなった。


「…ちょっと待ってろ。すぐに脱がしてやっから。」


 





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