アヅミっ!
俺の部屋は208号室らしい。
7階は全て生徒会役員のフロア。なんて贅沢なんだ。
俺は一般庶民だが、すっかりこの学園の寮に魅せられてしまった。
オッサンに貰った部屋割りの紙に目を移す。
どうやら2人で1部屋らしい。
男と二人きりなんて…慣れないなぁ。
同室者の名前は奈良崎 安曇(ナラサキ アヅミ)。
…どんな奴なんだろう。
208号室に着くと貰ったカードキーでドアを開ける。
「こんばんはーっ」
部屋は電気が点いていなく暗い。
返事がないので奈良崎がいないことが分かる。
入ってすぐに両サイドに部屋がある。
右側を開けると、既に荷物が置いてあった。
奈良崎が使うつもりなのだろう。
左側の部屋に自分の荷物を置き、ベッドに横たわる。今日はやっぱり、入寮初日なだけに疲れた。
色々不安も絶えないが、こうなってしまった以上は仕方がない。
ベッドから起き上がり、持ってきた自分の少ない荷物を整理した。一通り整理すると、再びベッドに潜る。
この学園には大食堂があるらしいが、今日は朝から動いて疲れていたので寝ることにする。
明日の朝、食堂で飯を食おう…そう思い侍らすと、俺は眠気に誘われた。
◆◇◆
ガタゴトッ
夜中に響いた物音で目を覚ました。
時刻は午前3時。
何事だ?と思い、ベッドから出て自室のドアを開けると、玄関に人影が見えた。
「…あれ、もしかして奈良崎君?」
未だに顔の見えない相手に話し掛ける。
「…誰だ、てめぇ?」
「俺は、同室の進藤 要。宜しく。」
「てめぇが同室か。………今後、俺には話し掛けんなよっ。」
近付いてきた奈良崎を見て唖然とした。
目が暗闇に慣れたお陰で、奈良崎がよく見えるのだ。
そう。目の前には筋肉隆々で背の高い、銀色の短髪をした強面の不良君がいる。
こんな…すげぇ威圧感のある奴を俺は初めて見た。
「せっかく同室なんだ。仲良くやろーよ。」
出来るだけ楽しげに奈良崎に話し掛けると、奈良崎は俺の胸ぐらをグッと掴み、人を殺せそうな目で凄んできた。
「てめぇには耳が付いてねーのかっ。俺に話しかけんなっつってんだよっ。あ”ぁっ!?」
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