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06  



「…?」

外が何やら騒がしい。

「戻ってきた…、」

私は顔をあげると、扉を開け外へと顔を出す。
そこには別れの挨拶をしている麦わらの一味と、魚人族の人がいた。

「よし帆を張れェー!!出航するぞォー!!またな「魚人島」ーー!!」

ルフィさんの一声で、船は動き出す。

「ルフィ様!いつかまたお会い…お会いできましたなら…!!」

ちょっと進んだところで、海からしらほし姫が顔を出した。
その衝動で船が少し傾く。

「またかっ…!」

いきなりの事だったので、またもや私は体制を崩してしまった。
あーまたたんこぶが…って…衝撃が来ない…

「あ、」

「お前、ちょっとは学べよ…」

どうやらまたゾロさんに助けられたらしい…
前へと転びそうだった私を、後ろから片手で支えて貰っている。

「…すみません、」

だっていきなりだったし…
子供の体じゃ何もかもが足りないんだ、踏ん張る力もありゃしない。
…筋トレしよ…

「…?どうしたルフィ。」

「…ここ上ったらよ…シャンクスのいる海だ!!…会いてェなァ。」

助けてもらった後、中々動かないルフィさんを不思議に思ったのか、ゾロさんが話しかける。
シャンクス…さん…は確か、四皇の一人だったか…
ルフィさんはそんな人とも知り合いなのか…本当に何者なんだ…

「この海底を抜けたら!!世界最強の海だ…!!」

「やっとだな…全部斬ってやる。」

「待ってて下さいラブーン後半周!!」

「いいわよどこへでも連れてったげる!!」

「そうさサニー号なら行ける!!」

「好きなだけケガしろみんな!!」

「食う事にはおれが困らせねェ!!」

「海の戦士も乗ってるしなァ!!」

「フフ…」

「行くぞ野朗共ォーー!!「新世界」へーー!!」

「「「ウオオオオオーーー!!」」」

私の探し物も、早く見つかるといい。
それが何であれ、大切なものではあると思う。
こんなに心臓が叫んでるんだ、

「きっと、大切なものだよね…。」

早く、見つけたいなぁ…。




暫く深海を進んだところで、私はゾロさんに例の事を頼んでみる事にした。

「ゾロさん、あの…お願いがあるんですけど…。」

「えっ!ナマエちゃんこんなマリモじゃなくておれが叶えてあげるよーー!!」

「んだとこのクソコック!」

あー…っと…これ、何時もの様にやっているのだろうか…?
誰も止める気配がないところを見ると、恒例行事の様だ。

「あー…サンジさんすみません、今回ばっかりはゾロさんじゃないと…
、」

「なんで!!こんなマリモ野朗に!!」

うわああと言いながら泣きそうになっているサンジさんを宥めるが、これじゃあキリがないな…

「で、何か用か?」

あ、ゾロさんもキリがないって顔してる…

「無理は承知の上なんですが、刀を一振り、触らせてもらえないでしょうか?」

「…、理由は?」

「あの建物、竜宮城でブルックさんに頼まれ刀と鍵を探していた時なんですけど、…」

「ヨホホホ!あの時は助かりましたよー!」

私とゾロさんが喋っているのがよっぽど珍しいのか、麦わらの皆さんはこちらに耳を傾けている様だ。

「あの時、ゾロさんの刀をみつけたんですけどもって行こうとした時、体が動かなくて…何か、わかる気がしたんです…、」

そう、とめどなく溢れる涙がそれを物語っている。
刀に何かヒントがあるんじゃないかって…

「無理な事は承知です…駄目なら、ブルックさんの刀をお借りしても良いですか?」

「ええ、ええ!私のでよければ!」

ブルックさんの方を見ると、快く了承してくれた。

「俺じゃなくてブルックので良いじゃねぇか。」

「それは、…そうなんですけど…触ったのがゾロさんの刀だったので…すみません、」

「頼んでんのか謝ってんのか分けわかんねぇやつだな。」

「クルァァァ!!こんなに可愛いナマエちゃんが頼んでんだ!!テメェの刀くらい触らせろ!!」

「うるせぇ!!」

ああ、また始まってしまった…
う、うーんもうこれはブルックさんのでも良いか…

「いえ、元々無理なお願いでしたし、すみませんでした急に変なこと言いだして…。」

「おい、嫌だとは言ってねぇぞ。」

「え、」

「あのアホコックに聞いた。…刀を見つけた貸しだ、ほらよ。」

ゾロさんはそう言って腰に挿してあるうちの一振りを私に差し出した。
てっきり断られると思っていたのだが…
でも私が見つけてなくてもあんな分かりやすいところにあったらサンジさんとかすぐに分かると思うんだけど…
ここはお言葉に甘えよう…。
そう思い、私は有り難くゾロさんの刀を受け取った。

「…、」

やっぱり、…これ、知ってる。

「どう?ナマエちゃん何か分かったかい?」

サンジさんが私に問いかけてくるが、今の私の頭の中は変な映像で溢れ返っていた。

「知って、る…」

「ナマエちゃん!?」

「ナマエ!?」

「!?」

私、やっぱりこの重みを痛いくらい知ってる。

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