キャプテンから見たペンギンさん
俺の名前はトラファルガー・ロー
ハートの海賊団の船長だ
いきなりだが俺はクル―の中である紅一点のペンギンに嫌われている
あ?
嘘だって?
俺が嘘言うわけねえだろ勘はいい方なんだバラすぞ
なんで嫌われてるか?
船長である俺を何故嫌いかって?
俺も知りてえよ
だが確実と言っていい、俺は嫌われているんだ
そう、自覚したのは少し前…
「キャプテン!!こっちも飲んでくださいよ!おいしいですよ!!」
先ほど攻撃を仕掛けてきた海賊船を沈めた俺達は船の中に入っていた宝と食料を奪った後で宴を開いていた
「いやこっちの酒の方がおいしいですよ!!」
大分酒が回ってきたのか、大半のクル―は出来上がっており歌ったり踊ったりと、どんちゃん騒ぎだ
「おい!あんまり飲みすぎないようにしろよ!」
そんな中、ペンギンだけはあまり酒を飲まず、クル―達に飲みすぎないようにと言って回っている
「まーまぁー!いいじゃんいいじゃん!!せっかくの宴だ!楽しまなきゃ損だろ!!」
「そうだそうだ!!ほら!ペンギンも飲めよ!!」
クル―の一人であるシャチが酒の入ったグラスをペンギンに差し出すがペンギンは呆れ顔をしてそれを断っている
「私はいい…はぁ、飲むのは勝手だが明日の仕事に支障が出たらお前達は暫く酒は禁止だ」
爆弾発言をしたペンギンに、シャチを始めその周りのクル―達は顔を青くした
「なっ!」
「それだけは許して!!」
一斉にペンギンの周りには土下座をするクルーや許しを請うようにして膝をつくクル―が群がった
「嫌だったら少しは控えろ」
そう言ってペンギンは少しだけおかしそうにふっ、と笑った
それを見た俺は目を丸くする
俺の前ではあんな笑顔みせたことないくせにクル―には見せるんだな、となぜか胸が少しだけ苦しくなった
確かにペンギンは船長である俺といることはちょくちょくあるがやはりいつも一緒に仕事をしているクル―には敵わない、とこの時思った
それと同時に俺は嫌われているんじゃないかとも思うようになった
「(嫌われているのか…)」
今思えばあの時の膝枕だって溜息をしていたし、俺と話すときはいっつも無表情か、難しそうな顔しかしてない
考えれば考えるほど嫌われているとしか思えなくなっていた
しかし俺は船長だ
俺が命令を下せば絶対にやらなければならない
でもそんなことばっかりしたらますますペンギンに嫌われてしまう
「(ど、どうすればいいんだ…)」
クル―に嫌われている船長なんかこの世界中どこを探してもいないだろう
どうすればペンギンに好かれるのか…
他のクル―にだって嫌われたくはないがペンギンは別だ
ペンギンは冷静で、この船のことを一番に考えるし、頭もキレる
女だから、と馬鹿にするやつも多いが、それでもあいつは強いし、なにより俺の次ぐらいにクル―の信頼が厚い
あいつの言うことは正論だから誰もが信じて疑わない
俺もその中の一人だ
そんなペンギンに嫌われている俺はどうすればいいのか…
最近はずっとそんなことばっかり考えていて何も手がつかない
こんな女々しい相談誰にも話すことなんてできないしなによりペンギンに知られたら終わる
何がって全部終わるんだよ
あ?
船長なんだから当たって砕けろ?
それができたらこんな苦労しねえよ
ペンギンに「俺が嫌いなのか?」とでも言えと?
「え、ああはい嫌いですね」なんて言われたら俺のハートはブロークンだ
あ?
ハートだけに?
てめえバラすぞ
こっちはまじで悩んでんだ
…はぁ、本当にどうすればいいんだ…