十年バズーカ
◇ツナ視点
『あはは、ツナちっちゃい。可愛いなぁ』
「あ…あはは…」
『何か中学生って感じだね〜』
「そうかな…」
『ぎゅーってしていい?』
「いいんじゃない…って、えっ!? んな!? ちょ…待っ…
ひっ…姫菜ちゃぁぁぁぁぁぁあん!!!」
目の前には姫菜ちゃん。
正しくは、大きな姫菜ちゃん。
スーツをばっちり着こなし、長い髪を結った綺麗な女性の姿。
これが、十年後の姫菜ちゃんの姿らしい。
どうしてこうなったかと言うと、一時間前に遡る。
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『えっ、勉強会?』
「そうそう。テスト前だし、山本たち集めて勉強会やれってリボーンが言うんだよ…
俺んちでやるんだけど、よかったら姫菜ちゃんも来ない?」
それは、ダメ元で頼んでみた事だった。
もっと姫菜ちゃんを知りたかったから、と理由はただそれだけだった。
俺は、姫菜ちゃんの事をあまり知らない。
誰にでも優しくて明るい事、飛び抜けて頭が良い事、運動神経が抜群な事。
それは皆が知っている事だけれど、でも一つだけ、皆は知らない事を俺は知っている。
円上の刃物を使って雲雀さんと互角に渡り合っていた姿をこの間オレはこの目で見た。
姫菜ちゃんは、プリマヴェーラ? とかなんとかいうファミリーのボスの一人娘らしい。
未だに信じられないけれど、姫菜ちゃんのあの無口で冷酷な姿を見たら、信じざるを得ないというか…うーん…
とにかく! 常識外れの特別な人間…って感じ。
そんな姫菜ちゃんと一緒に居るのはもちろん楽しい。
だからもっと知りたいと思う。姫菜ちゃんの事を。
まだまだ知らないことがいっぱいだから、多く時間を過ごしたい。
でもそれはオレの勝手な気持ちだから、断られるかなぁ、と思っていたり。
姫菜ちゃんは考えたのち、頷く。
『勉強会かぁ…
うん、行こっかな』
「ほ、本当!?」
『うん♪ 帰ったらすぐに向かうね』
と、いうわけで。
姫菜ちゃんから驚きの返答があり、オレと獄寺君と山本と姫菜ちゃんで、オレの家で勉強会をすることになったのだけれど…、
「えーと…χを代入して…」
「リボーン、死ねー!」
「げっ! アホ牛! 向こう行ってろ!」
ドタバタと荒れ果てる部屋。
まぁ予想通りというか…
「あーもー! 止めろってランボ!」
はぁ…、と大きく溜め息をつけば山本が楽しそうに「ハハハッ」と笑った。
な…なんでここで笑えるんだ…。
「うぜーぞ」
タンッ…バキバキッ…
「ぐ、ぐぴゃあぁぁぁぁぁあ!!」
ランボはいつも通り十年バズーカを取り出し、自身の頭に放った
筈だったのだが。
『…あれ』
ドシュゥゥ…ボフンッ
『ううん…いきなり何? ここは…』
「え…ひ、姫菜ちゃん…?」
暴発し、姫菜ちゃんに当たってしまう。
そして冒頭に戻る。
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『わ、勉強会? あぁ…十年前確かそんな事したっけな』
十年の時を経て、姫菜ちゃんは凄く綺麗になっていた。
大人っぽくて良い匂いがして…ってオレは変態か!!
一人百面相をしていたら、リボーンに「ツナ、気持ちわりーぞ」と蹴られた。
くそー…リボーンめ…
「あ、姫菜さん」
『姫菜でいいよ』
「そっか。じゃ姫菜! 今何してんだ?」
『んー社会人。しっかり働いてるよ』
「へぇ。スゲーな!」
「じゃ、オレは十代目の右腕になってんだろーな!?」
『それは、聞いちゃったら面白くないんじゃない?
頑張り次第だと思うよ』
クスリ、と微笑んで獄寺君を見つめる。
獄寺君は納得いかなさそうに顔をしかめていたけれど、不承不承に頷いた。
「………」
不思議な沈黙が続く。
少し、緊張する。
『ツナ』
突然呼び掛けられ、首を傾げる。
『私ツナ達に会うまで、年の近い友達なんて居なかったから。
誘ってくれて嬉しかった…んだと思う。
ありがとね』
「……そんな」
言葉が出てこない。
別に、大したことしてないのに。
大人の人にお礼を言われると、何だか照れ臭い。
真っ直ぐ見つめてくる姫菜ちゃんから目を逸らす。
「あの、姫菜ちゃん」
『ん?』
「姫菜ちゃんは、」
ボフンッ
問おうとしたことを口にする前に、煙が姫菜ちゃんを包む。
十年前――現在の姫菜ちゃんに戻っていた。
『あっ、戻ってきた』
「お、元の姫菜だな」
姫菜ちゃんが向こうでの事を山本達に何か色々話しているみたいだけど、オレの頭には内容が入ってこなかった。
俺は、なんて事を聞こうとしたんだろう。
「今好きな人はいるんですか」
なんて。
自分がそれを聞こうとした訳も分からず、ただただ姫菜ちゃんを見つめる。
その後、勉強には全く集中出来なかった。
〜あとがき〜由詩です。
いきなりオリジナル入れちゃいました(^q^)
あれ…おかしいな。オリジナルなのにグダグダだよ((
多分ツナさんはヒロインちゃんの事はまだ恋愛として見てないような気がします。
気になっている不思議な存在…くらいなのかなぁ、と。
次は我らが大将、愛親分です。
ご購読有難う御座いました!!
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