跳ね馬ディーノ

「学校終わった、終わったー」

ん〜とのびをしながら下校するのは男子生徒。
ボンゴレ十代目のツナこと沢田綱吉である。

「家帰ったら何しようかなー? ん?」

ふと目を向けると自分の家。
そして、それをとりまく黒スーツの男達。

「何これ〜!!!?」

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*ヒロイン視点

『はぁ、つかれた〜』

少女はため息をつく。
日本の授業って楽しいけど長いんだなぁ。

『あれ?』

黒いスーツの男の人が一軒の家をとりかこんでいる。

『ここって…ツナの家?』

何かあったのかな…?
ふと男達を見るとなんとなく見覚えがある。
その正体が分かった瞬間、私はツナの家へ向かって歩き出した。

「ちょっと、君」

黒スーツの男に呼びとめられた。

「今は、沢田家の人間しか通れないんだ」

『ディノ兄…いえ、跳ね馬ディーノに会わせてください』

「…お前…何者だ?」

周りのものがいっせいに殺気を放つ。

『私は…今は亡き、プリマヴェーラファミリー九代目ボスの娘』

それを聞いた男達は驚きを隠せないようだ。

「姫なのか…?」

『その呼び方はやめてよ』

少女は顔を上げ、にっこり笑う。
そして再び繰り返す。

『お願い…ディノ兄に会わせて…』


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*ツナ視点

「一体なんなんだよ!!!」

「待ってたぞ、ツナ」

いやいや、待ってたとかどーでもいいから!!
今はオレの質問に答えろよ!!

「いよぉ、ボンゴレの大将」

「!?」

「はるばる遊びに来てやったぜ。
オレはキャバッローネファミリー十代目ボス。ディーノだ」

「な!?」

見ると金髪の青年が黒革のイスに腰かけていた。

「ん! …ハハハハハッこりゃぁダメだな!!」
「へ?」

ちょ、ちょっといきなり笑い出して、なんなんだよ!!
そんなことを思っていると…

「オーラがねぇ」
「!!」

「面構えが悪い。期待感もねぇ。覇気もねぇし、幸もうすそーだ」

「足が短けぇ」

「ボスとしての資質ゼロだ」

って初対面でいきなりダメだし〜!!?
それからリボーンどさくさにまぎれて何気にヒドいこと言ったな!!?
するとどこからかクスクスという笑う声と共に…

『ディノ兄にリボーン。私の大切な友達をいじめるのはやめてよね』

高く澄んだ声が聞こえた。

「あっ ひ「姫菜!!」えっ!?」

ドアの所に立っているのはまぎれもない姫菜ちゃんだ。
でもなんでこの人は姫菜ちゃんの名前を知って…。
するとそのディーノ(?)とかいう人が姫菜ちゃんに近づいて…

ちゅっ

「んな!!?///」

姫菜ちゃんの頬にキスをした。

「久しぶりだな、姫菜」

『ここは日本だよ、ディノ兄。ツナが困ってる』

「そんなこと言うなよ、姫菜」

『もう…。ごめんね、ツナ』

イタリアではこれが親しい中での挨拶なのと説明してくれる。
そんな親しい仲なんだ姫菜ちゃんと…。
胸のあたりがモヤモヤする。

「ど、どういう人たちなの? この人たち…」

「ディーノはお前の兄弟子だぞ」

「は?」

兄弟子…??
この人がオレの…??

「悪りーことばっかり言ったが気を悪くすんなよ、ボンゴレ十代目。
俺もリボーンに会うまでボスの資質なんてこれっぽっちもなかったんだ」

「えっ!!? リボーンに会うまで!? ってまさか…」

「オレはここに来るまでディーノをマフィアのボスにすべく教育してたんだぞ」

「まじで〜っ!?」



*ヒロイン視点

『へぇ〜』

私は一人で感心していた。
ディノ兄とは小さい頃から一緒だったけど、リボーンに会うまでボスの資質がなかったのは驚きだった。
昔から優しくて、誰にでも愛されるディーノは私の父さんも母さんも大好きだった。
父さんと母さん、ディーノといる時間は私にとってはとても幸せな時だった。
グッと溢れそうになる涙をこらえた時…

「うわぁ〜!!!」

どた〜ん!!!

「…! カメ…?」

『エンツィオ!!』

私はエンツィオを抱き寄せた。
エンツィオはディノ兄のカメで私のお気に入りだった。
すると…

「枝つきブロッコリーだぞ〜!!」

「また、あいつら…!!」

『あっランボ君!! イーピンちゃん!!』

あれ? 手に持ってるのは…手榴弾!?

「コラ、ランボ!! 手榴弾持って遊ぶなって!!」

「ぐぴゃ!!」

あ…コケた…

「バカー!!」

ランボ君が転んだ拍子に手榴弾の安全レバーがはずれ、窓の外へ

「やべーな、外にはディーノの部下がいるぞ」

「あっそーいえば!!」

『ディノ兄!!』

バッ!!

ディノ兄が窓から飛び出した。
愛用しているムチを取り出し叫ぶ。

「てめーらふせろ!!」

ムチで手榴弾を掴み、空高く投げる。
でも、あの距離じゃディノ兄が危ない。
私はカッターリングを取り出し、窓の外へ飛び出す。

「姫菜ちゃん!!!」

後ろでツナの声が聞こえた。
私はカッターリングを投げた。

スパン!!

爆発寸前のところでカッターリングが手榴弾を切り刻む。



*ツナ視点

「姫菜ちゃん!!」

あのディーノって人が飛び出し、次は姫菜ちゃんまで窓から飛び出した。
そして姫菜ちゃんの放った円状のナイフが手榴弾を切り刻む。

ストッ

姫菜ちゃんが地面に着地する。

「またボスのやんちゃだな」

「一日一回はドッキリさせやがる」

「姫さんも流石だぜ!!」

などと声が上がる。

「カッコイイ…///」

ディーノって人も姫菜ちゃんも命がけで部下の人を守った。
それが当たり前であるかのように…。

(姫菜ちゃんってやっぱり凄い…)

「ディーノ、お前今日は泊まってけ」

「なっ!!」

何勝手に決めてんだよ〜!!
ってリボーンのやつ無視しやがって!!

「よっしゃ、んじゃーボンゴレ十代目に説教でもたれるか」

えっ!? オ、オレのために!?///
いや〜なんか嬉しいなぁ〜///

「よかったな、ツナ」

『ディノ兄にリボーン あまりツナに迷惑かけちゃ…』

姫菜ちゃんが申し訳なさそうにオレを見る。

「オレは大丈夫だよ、姫菜ちゃん!!」

「そうだぞ、姫菜。ディーノもいるし、心配すんな」

『でも、リボーン。ディノ兄は部下がいないと…』

「またその話か? 大丈夫だって姫菜!!」

姫菜ちゃんはしぶしぶながらも納得したようだ。

『何かあったらすぐ呼んでね?』

そう言うと自分の家へ帰っていった。

「(はぁ…今日もいろいろありすぎた〜)」

ディーノさんと一緒にいられるのは嬉しいけど、マフィアのボスはごめんだしな…。
深いため息をつくツナだった。


その夜

「久しぶりだな、姫菜」

ディーノは沢田家を抜け出して、小さな公園にきていた。

『何もなかった?』

「いや、エンツィオがフロ場で巨大化しちまうし、ここまでくるのに8回転ぶし…」

どうなってんだろーなと笑うディーノを見て、姫菜は変わらないのねとため息をつく。

「…で、こっちの生活はどうだ?」

『学校も普通に行ってるし、特に問題ないよ』

「そうか…辛くねぇのか…? 今日泣いてたろ?」

『っ!! な、泣いてなんか…』

「嘘つくなよ。それくらい俺には分かるぜ? 何年一緒にいると思ってんだ?」

そう言うと姫菜を抱きしめる。

「もう少しお前は周りに甘えていいと思うぜ?」

ディーノの言葉とぬくもりに姫菜の目から涙がこぼれる。

「今のうちに泣いとけ」

姫菜はコクンと頷くと声を上げずに泣いた。

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『ごめんね…ディノ兄』

「ん…。もう大丈夫か?」

『うん!! ディノ兄、ありがと♪』


姫菜の笑顔を見たディーノはホッとしたように微笑む。

『まだ日本にいるの?』

「あぁ、ツナのことも気になるしな」

『じゃあ、またツナのとこ遊びに行くね♪』

「あぁ」

『じゃあBuonanotte(おやすみ) ディノ兄』

「Buonanotte、姫菜」

ディーノは姫菜の額に小さくキスを落とす。
姫菜もディーノの頬にキスをすると 手を振りながら夜の闇に消えていった。

「(姫菜…)」

ディーノは心配そうに姫菜を見送った後、その場を去っていった。



〜あとがき〜
ついにディーノさん!! カッコイイなぁ////
ディーノさんとヒロインちゃんは幼馴染みたいな感じです。
ヒロインちゃんの前でもヘナチョコですが、ちょっとディーノさんをかっこよくしてみた。
こんなお兄ちゃんが欲しい!!
お次は由詩様でございます!!




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