「やあルイ、元気だったか?」
「元気よ、元気。私たちのこと新聞で見たでしょ?」
「ああ。エジプトに行ったんだろ? 暑くなかったのか?」
「暑かったわ。でも1番上のお兄ちゃんに魔法をかけてもらってからは快適だったの」
そうか、よかったな、と微笑んでるのは双子の兄の天敵であるドラコ・マルフォイだ。エジプト旅行という有意義な夏休みが終わり今日から学校に行くため汽車に乗ったのだが、空いている席が見つからず、汽車内をうろちょろしていたときに一緒にコンパートメントに座ろうと誘ってくれたのだ。
最初はロン同様ルイを敵視していたドラコだったが、セオ___スリザリン生のセオドール・ノットという男の子___とルイが仲良くなってから少しずつ話すようになり、今では週に1度お茶会をするくらい仲良くなった。
ルイは純血を誇らしく思うことは悪いことではないが、ドラコのマグル生まれに対する差別はどうかと思っている。でもそれを言ったところでドラコが変わるとは思えないし、せっかく敵対している寮の子と仲良くなれたのだからわざわざケンカになるようなことを言う必要はないと思った。それはドラコも同じようで、いつも絶対にその話題は出さない。それは今日も同じだ。
「そうだルイ、これを君に」
そうドラコに渡されたのは白い小さな箱に入った緑の宝石のついているネックレス。一粒仕様でとても上品なデザインだった。
「わあ!すごい素敵!………でもとっても高いでしょう? 受け取れないわ」
「そんなこと気にするな。これは僕が君につけてほしくて買ったんだ。君がつけてくれなきゃコイツがかわいそうだ」
そう言われてしまえば断る方が失礼かもしれないと思い、素直に受け取った。今つけてみようか迷っていると、それをこっちに持ってきてと言われたので不思議に思いながらドラコの隣へ移動すると、夕日に照らされた宝石が緑から赤へ変化した。
「え……宝石が赤になったわ!」
「それはアレキサンドライトっていう宝石で当てる光によって色が変化するんだ」
「すごいわ!こんなに素晴らしいネックレスを貰ったのは初めてよ!ありがとうドラコ!」
ルイは感極まって思わずドラコに抱きついてしまった。大事にするわ!と早速自身の首にネックレスをつけているルイの横で、ドラコが夕日に負けないくらい真っ赤な顔をしていた。
前 /
もどる /
次