▼ 実力派の紫-02-
『それより滝夜叉丸知らないか?』
「ああ、それなら…。」
そう言い、綾部が指差した先には乱太郎ときり丸としんべエ。それから、目的の人物がいた。
「この平滝夜叉丸、何をやらせても超一流!容姿端麗で文武両道!戦輪を使わせればその実力は忍術学園ナンバーワン!おまけに教科も実技も学年トップ! 他にもーーーー、」
ぐだぐだぐだぐだ、と3人に自慢話をしている滝夜叉丸。いつも通りの光景だな。
教えてくれた綾部にありがとうと頭を撫でてから、スタスタと彼らに近づいく。そして、こつんと滝夜叉丸の頭を叩いてやった。
「あだっ!………って蓮夜さん!」
『それぐらいにしてやれ。乱太郎達が困っているだろう?』
「「「わあ、蓮夜さん!!」」」
間に割って入った俺をキラキラと尊敬の眼差しで見つめる3人に苦笑が漏れる。どんだけ滝夜叉丸の話が嫌だったんだよ。
『ほら、みんなもう行きな。もうすぐ授業が始まるぞ。』
元気よく返事をした乱太郎達は、そそくさとこの場を走り去っていった。そんな中、ふて腐れて口を尖らせながるのは言わずもがな滝夜叉丸である。そっぽを向く彼の頭に手をのせれば不思議そうに俺の方を見た。
『お前の凄さは十分わかってるよ。』
「あ、え、うぁ…………っ////」
予想をしていなかった言葉に滝夜叉丸はしばらく目をぱちぱちと瞬かせたあと、ぼんっと頬を赤くする。なんだこの反応。予想の斜め上にいったな。そんな滝夜叉丸がまた愛らしくて、がしがしと頭を撫でた。
滝夜叉丸は自己過信がすぎるとばかり思われているが俺はそうは思わない。彼は己も他人も評価し、その上での事実を述べているだけにすぎない。その証拠に上級生や教職員からは一目置かれている。まあ、自慢しすぎるところは目をつぶるとしてね。
"敵を軽んず"
下級生はまだわからないかもしれないけれど、いつかそれが仇になって返ってくる。滝夜叉丸ほど将来侮れない者はいないと俺は思うのだ。
もしかすれば学園一ギンギンに忍者をしている文次郎よりも強くなるかもしれない。
ああ、すごく恐ろしいけれど楽しみだな。
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