雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 実力派の紫-01-


俺の手にあるは、大量の書類。
何故かって?吉野先生に頼まれたからだ。

「今日"も"また小松田くんが色々仕事を増やしてくれたので、蓮夜くんすみませんがこれを全てお願いします。」
『……はい』


どさりと大量の書類を俺の手に渡した時の吉野先生は黒かった。真っ黒だった。最近やっとあの黒さに慣れてきたけど、やっぱり怖いものは怖い。
小松田さん、吉野先生をあまり怒らせないで下さい。これは切実な俺の願いです。本当に。

『はあ、ーーーーおっと!』

ため息と同時に足を踏み出せば、地面に違和感を感じ慌てその場を飛び退いた。つい今しがた、足を置いたところにぽっかりと大きな穴が空いていた。

『危なっ……。』
「おやまぁ。蓮夜さんまた落ちてくれなかったんですねー。」

後ろを振り向けば、蛸壺を掘った張本人の綾部喜八郎が鋤を肩に担いで立っていた。うん、予想通り。

『なあ綾部。最近、蛸壺の量増やしすぎじゃあないのか?』

俺の歩くところのほとんどに蛸壺が掘ってあるのだ。全く勘弁して欲しい。俺じゃなくて、保健委員の子達。いや、違うな。主に伊作が被害にあってる。毎回毎回巻き込まれる留三郎や助け出す俺の苦労をわかってくれ。

「それは蓮夜さんが僕の蛸壺に落ちてくれないからですよ。」

それは俺に蛸壺に落ちろと言ってるのか?駄目だ、駄目。俺にも一応プロ忍としてのプライドがある。大人げないが誓おう。絶対落ちてやらないと!




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