▼ 鷹と蛇-02-
朱華と少し戯れていれば、草むらガサガサと揺れてそこから何かが飛び出してきた。
『ーーーへび。』
飛び出してきたのは、赤くて少し模様の入った美しい蛇だった。
とても綺麗なのだがそれに反する程の猛毒を持っている毒蛇。美しいバラに刺があるのと同じで、無暗に触れられない存在なのだ。
その蛇はと言うと朱華を見た途端、頭を持ち上げシャァァと威嚇し始めた。まあ、蛇からしたら鳥類は天敵だからな。威嚇している蛇を見れば朱華も翼を広げ襲いかかろうとする。
『朱華、襲っちゃ駄目。』
ここにいるってことは、迷い混んだか、学園が飼っているかだ。前者であれば自然の摂理として致し方ないが、後者であればちょっと困る。軽く撫でながら声をかければ朱華はすぐにおとなしくなった。
『ん、いい子。なあ、悪いんだけどちょっと離れててくれないか?』
すると、朱華は軽く鳴いて返事をし、俺から少し離れた場所に移動した。本当、聞き分けが良くて賢いいな。流石、組頭の忍鳥だった子だ。
俺は、威嚇し続ける蛇にそっと近づいた。
『大丈夫、怖くないよ。俺は蓮夜だ。よろしくな。』
視線を合わせてにこりと微笑めば、蛇も少しづつ警戒を解いて俺にゆっくりと近寄ってくる。
怖がらせないようにそおっと手を出してみればスルッと腕に絡み付いてきて俺の首元まであっという間に登って来た。
『ふふ、お前は人に慣れてるんだな。』
頭を優しく撫でてやると蛇はチロチロと舌をだした。蛇も可愛いな。なんて、無意識に頬が緩むのがわかった。
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