▼ 鷹と蛇-01-
ーーーピィィィ
指笛を吹く。澄んだ高い音が青空に響き、吸い込まれていった。
「ピィィ」
俺の指笛に答えるように1匹の鷹が鳴いた。そして、その鷹は俺の元へばさりと舞い降りてきた。本当、いつ見ても綺麗だ。
『朱華!久しぶりだな。』
朱華とは学園長の庵で会った時以来だ。
あの後、朱華は組頭を探しにササガタケに戻っていた。俺は組頭の死を確認してなかったから、まだ生きているかもしれないと、ほんの僅かな希望を抱いて朱華を見送ったんだが。俺の元に戻ってきたってことが答えか。
『……生きて、なかったんだな。』
ピィと悲しそうに朱華は鳴き俺にすり寄ってくる。空を仰ぎ見そっと目を閉じればニヤリと不敵に笑う組頭の顔が脳裏に浮かんだ。殺しても死ななそうな人だったのに。やはり人と言うのは儚いものだな。
『……なぁ朱華。今日から俺がお前の主人になってもいいか?』
意を決して吐いてみた俺の言葉に、朱華は力強く鳴いてくれた。それが嬉しくて俺はもう一度頬を寄せた。
組頭、貴方の忘れ形見は俺が責任を持って最後まで面倒見ますね。
『どっちかが死ぬまで、ずっと一緒だ。』
優しく撫でてやると、朱華も嬉しそうに翼を羽ばたかせた。
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