ん・・・体、痛・・・


あれ?


寝てた?


おかしいな。


ここ、どこだろ。


確かファジーさんとイイ男談義をしていたはず。


ファジーさん・・・!!


「ファジーさん?ファジーさんっ?!」


やけに重たい目を必死に開けても真っ暗で、人の気配すらしない。


体がぎしぎしと痛む。


・・・動かない。


私、縛られてるんだ。


なんで?


いつ?


ガチャ。


「おっ、起きたな!」


誰?


急に眩しくなって、やっと開けた目を閉じた。


「寝たふりかー?」


ちげーよ。


目が開かねーんだよ。


テメー、何した?


ようやく開いた目に写ったのは、ニタニタと笑う昼間の男。


「あんた・・・」


「顔を覚えてくれてるとは光栄だなぁ」


「ファジーさんは?」


「あ?ああ、あんたと一緒にいた女か。あいつには用がないからな、さっきの店でまだおねんねしてるんじゃねーか?」


さっきの店・・・


「あのカクテルっ!!」


そうか。


迂闊だった。


きっとつけられてたんだ。


居なくなったと思ってランジェリーショップを出たけど、隠れてたのか。


でも・・・ファジーさんが無事なら良いや。


「人の心配してる場合か?」


・・・やっぱ殺される?


「あんた、一人?さっきはもう一人居たじゃない」


「あー、あいつはオレの後だ!」


後?


じゃあとりあえず強姦?


「二人で、じゃないんだ?」


「趣味が違うからな!オレの後じゃないとあいつは楽しめないんだとよ、ヒヒヒ」


嫌だな。


嫌な感じだ。


切り刻まれる系かな。


「あんた綺麗な肌してるねー」


「・・・」


「オレはさ、レイプに興味はねーんだよ。あんたみたいに綺麗な肌に傷を付けるのが好きなんだよねー」


ナイフを翳して恍惚の表情を浮かべる男。


こっちが切り刻む系か・・・。


つーことは後の奴は屍姦?


げ。


最悪だ。


「騒がれちゃたまんねーからなぁ」


口にボロ布を突っ込まれて、猿轡をされる。


「まーずーはーどーこーにしよーかなー?」


変な節回しで、ナイフが肌をなぞる。


シュッ


「んぐっ・・・んんー」


痛!


服から露出している部分に、細い傷が出来て、つ。と血が滲む。


「ハーッハッハ!いいねぇいいねぇ!まだまだこれからだぜ?」


シュッ。


シュッ。


「んーっ!ぐ・・・ぐぁ・・・」


更に深く付いた傷は、ヒリヒリと焼けるような痛みを伴う。


「ぐぁあっ!ぐ・・・っぁ」


せっかく少しシリウスの一員として認めてもらえ始めたかなー、と思えだしたとこだったのに。


ファジーさんとお別れするの、嫌だな。


最後にロイさんの声、聞きたかったな。


船長、ありがとうございました。


シンさん。


ナギさん。


ソウシさん。


ハヤテさん。


トワくん。


みんなみんな、良くしてくれた。


散々悪いことしてきた私に、神様が、最期の夢を見させてくれたのかもしれないね。


神様なんて信じてないけど。


幸せだったな。


「アハッアハアハッ!ヒーッヒッヒッヒッヒ!!」


気が触れたみたいに笑う男。


私もいっそ気を失えば楽なのに。


正気を喪えば楽になれるのに。


苦しくて痛い。


熱い。


痛い痛い痛い!!


散々ナイフ痕を刻まれた肌は、血に塗れて、色の白さを際立たせている。


「んー、そろそろザクッと行っちゃうかなー??」


ニタニタしながらナイフに付いた血を、男が舐める。


お終い・・・か、な・・・


「ガンッ!!!」


突如乱暴に開けられた扉の向こうに、知った顔が現れた。




*ソウシver. p5〜

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