肉食系ラビット | ナノ
ご帰還

 


本当に俺を放置して出ていく清隆寺を見送って溜息を吐いた。
まだ数時間しか共に過ごしてないのに何だこの疲労感は。
俺も腹減ってたけど一気に食う気無くした。
清隆寺雅兎…恐るべし。
つかさ、何だあの清隆寺は。
俺はあんな傍若無人に憧れてたのか?
二重人格の奴だと思わなかった…いや、知ってる奴なんて居ないよな。
でも中等部の頃の同室者は知ってんのか?
お願いだ、どうやって乗り切ったのか教えてくれ。
寧ろもう、アイツと生活しても生き延びれた姿を見せてくれ!
生き証人が居ないとツラい!
ああ、胃が痛い。





「おい」

「あだっ!」

「テメェ…よくそんな体勢で寝てられんな」

清隆寺対策を考えてたら疲れていつの間にか寝ていたらしい。
正座したままで。
正座は慣れてるからな。このままでも寝れる。
そして帰宅した清隆寺に蹴られて今床とチークダンスしてる。
見えないけど呆れた声が聞こえる。
つか不意打ちで蹴られて起こされたからまだ頭が起きねぇ。
このままもう少し…

「1秒で起きろ。起きねぇと…」

「!!」

お前凄ぇよ。
言い終わってねぇのに直ぐ起きたぞ俺。
目覚まし、清隆寺の声にしたら起きんの早くなりそう。
朝から精神的に疲れるけど。
嫌だ。絶対そんな目覚まし使いたくねぇ。

「チッ…ちゃんと動いてねぇみたいだな。馬鹿でも素直な奴は嫌いじゃねぇ。当然、馬鹿の時点で好きでもねぇけどな」

もう聞こえた舌打ちは無視だ無視。
お前、好きでも嫌いでもない奴を平気で蹴るのか。
もう今日はこれ以上清隆寺の神経を逆撫でしないように大人しく正座してうつ向いとこう。

「おい下僕」

「はいぃっ!」

不意打ちで声掛けんなよ!
今静かにしとこうって決意したばっかなんだぞ!

「この炭、片付けろ」

一瞬何の事か分からず視線を上げると清隆寺が指差してんのは可哀想な元肉。
ごめんな。お前ら今頃は美味しくなって食われてた筈なのに…
でも意外と中は美味かったりするんじゃねぇか?
食ってみよっかな。勿体無いし。

「間違っても食うんじゃねぇぞ」

お前はエスパーか!
透視された!?コイツなら出来そうで怖い!
いや、出来てたら今頃フルボッコされてるか。
俺は一先ず立ち上がり真っ黒になってしまった元肉を罪悪感と謝罪の気持ちを込めて見つめた。


 


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