肉食系ラビット | ナノ


 


「何で俺様がテメェなんかと仲良しごっこしなきゃいけねぇんだよ。バーカ」

おっしゃる通りです。
良いんだよ、もう。
お前の気ぃ逸らせたらそれで十分だ。

「テメェは俺の下僕だ。忘れんな」

「はい…」

「だからさっさと飯作れ。俺は部屋で休んでる」

髪を掴んでた手が離れて清隆寺は自分の部屋へと帰っていった。
た、助かった…!
もう絶対殺られると思った!
精神的に疲れたけど生きてるから良い!
掴まれて乱れた髪を整えて自分のシャツの袖を捲りながらキッチンへ向かう。
高等部からは自炊する者も増えるだろうと立派なシステムキッチンが備え付けられてる。
すげぇ。ピカピカしてる。
取り敢えず手を洗って立ち尽くす。

俺、料理出来ねぇ。

まさかの清隆寺の地雷を踏んでしまった手前、料理が出来ないなんて言ったら本当に潰されてたと思う。
でもなぁ…やった事ねぇしなー…
冷蔵庫を開けてみたら食材が揃ってる。
やたら肉が多い。
清隆寺、材料は用意してたのか。
最初っから俺を下僕にして料理させる気満々だったのか。
牛肉を見つけて閃いた。
そうだ!肉なんか焼いてしまえば食える!
焼いただけでも美味い肉万歳!
一口大に切られているサイコロステーキを取り出し、フライパンを温めて俺は人生初の料理に挑んだ。













「で?テメェは何を作ったんだ?」

「……サイコロステーキです」

「それはこの黒い炭の事言ってんのか?ああ?」

俺は肉を舐めていた。
脂が乗った肉って、すっげぇ焼けるんだな。
ちょっと目を離した隙にフライパンに乗った肉を見たら煙出して黒くなってて、
慌ててテンパった俺が煩かったらしく清隆寺が部屋から出てきて一発俺を蹴った。脇腹痛ぇ。
そして今、ダイニングのテーブルの上に置いた元肉を不機嫌そうに眺める清隆寺の足元で正座させられてる。

「本当に使えねぇ馬鹿だな」

呆れた口調の清隆寺に返す言葉もない。
いや、あっても返せねぇけどな。
焼くだけの料理を失敗するなんて本当に馬鹿だろ俺。

「この時間なら食堂もあんま人居ねぇか」

もっと怒られるとか殴られるとか思ったのに意外にもそれ以上責めない。
しかも嫌がってた食堂で飯に切り替えてる。
何だ、清隆寺。
やっぱ根は良い奴なのか…?

「ただし、テメェはここで反省してろ。いいか、俺が帰ってくるまで絶対動くなよ」



お前、上げて落とすの上手ぇなぁ。


 


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