ウサギさんの食事
「じゃあ早速飯作れ」
「えっ!?」
いきなりの命令に思わず声を上げてしまう。
驚いたんだから仕方ないって!
だからその握り拳を直せマジで!打たれ強いけどこの人の拳は絶対痛い!
時計に視線を向けるともう昼過ぎだ。
確かに食事時だけど…
俺は下を向いて恐る恐る右手を挙げた。
「………」
無言で俺を見下ろす清隆寺様。
ちゃんと手ぇ挙げてんだから発言許してくれよ!
俺も引く事無くずっと真っ直ぐ右手を挙げてると舌打ちが聞こえた。
理不尽ー…
「何だ下僕。2秒以内に話せ」
2秒!?
まっ、間に合うか…!?
「俺の料理を食うより食堂で食った方が美味いと思います!」
必死に早口で喋った。
間に合ったよな?
見るなと言われてても様子が気になるから視線を上げるといきなり肩を蹴られて床に倒れた。
いってー…間に合わなかったのか?
「こっち見んなっつったろ。テメェは本当に頭弱ぇなぁ。あんな馬鹿共が群がってる場所で俺様が飯食う訳ねぇだろ。」
やっぱり見たら駄目なんだ。
この人に言われると本当に自分が頭弱い気がしてきた。
この人の言い分も分かる。
美形を、その中でも特に人気者を見たらこの学校の奴らは騒いで集まりその場から離れるまでずっと見つめてる。
あんなに見られたらゆっくり食ってられないし緊張するんだろう。
この人も見られると食いづらいとかそんな感情があるんだ。
「俺を見てくる奴等の阿呆面を見て飯食うなんて胸糞悪ぃ。あと生徒会の奴等が絡んできてうぜぇ」
そんな理由だったのか…!
あんだけ見られてる現状でそんな事を気にしてるあんたの心臓は絶対鋼で出来てるって信じてる。
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mokuji]