何が悪い! | ナノ
口付け

 


「いたっ、痛いって疾風!」


食堂からずっと力一杯掴まれている腕の痛みを訴えても疾風は一言も喋らない。
何で急に…いつも妄想しても呆れたように笑ってたじゃんかっ…

「っ!」

いつもより遠く感じた部屋に辿り着いて腕の力が緩まり安心するのも束の間、中に引き込まれると同時にドアに押し付けられた。
逃げられないように疾風の両手が俺の手首を掴んでドアに縫い付ける。
まだ不機嫌な顔のままだ。

「疾風、何でっ!」

不機嫌の理由を聞こうとしたけど叶わなかった。
何かが俺の口を塞いだからだ。
急な出来事に驚き目を見開かせて見えたのは視界いっぱいに広がる疾風の顔。
酸素を求めて唇を開ける隙を狙ったように舌を捩じ込まれ漸く疾風とキスしてると理解した。

「なっん、ふっぁっんっ、やめっ…」

何とか頭を引いて唇を離そうと抵抗するが後ろは扉でそれ以上動く事も出来ず直ぐに間合いを詰められる。
侵入してきた舌はまるで別の生き物のように器用に動き回って咥内を掻き乱す。
室内に水音を響かせ自由に動く舌が上顎を擦った瞬間、体が震え上がった。
ヤバイ、気持ちぃー…。
それだけで体の力が抜けてしまいドアに体重を預け、抵抗を止めて自ら更なる快感を求め拙く舌を絡ませた。



「はぁっん、ぁっはぁっはぁ…ん」

そのまま数分キスを味わい唇が離れる頃にはもう一人で立つ事が出来ず疾風に支えられていた。
呼吸を乱し飲み切れずに口端から垂れた唾液を見た疾風が吸い取る。
たったそれだけの行為にも体は過剰に反応して震える。
あれ?俺、何でこんな事に…
ぼんやりとした思考のまま考え、さっきよりは表情が和らいだ疾風を見上げる。


「優、部屋に行くぞ」


甘く吐息混じりに囁かれた言葉に、ただ素直に頷いた。


 


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