何が悪い! | ナノ
久し振りの平穏

 


「ん…う?」

「優、起きた?」


寝返りを打った時に顔に何かが当たってゆっくりと目を開くと誰かの胸元。
あるぇー…昨日寝るまでの記憶が曖昧だ。
ぼんやりと考えてたら優しい声と共に頭を撫でる骨張った手。
ああそうだ。確か昨日疾風に体を洗ってもらって…そのまま寝ちゃったんだ。
………。
そのまま寝ちゃった!?
あれっ俺っここまでどうやって来た!?

「疾風…ん?」

昨日の事を聞こうと思って体を動かしたら着ていた服が少しずれた。
何故か服がブカブカな気がする。
布団からもぞもぞと手を出したら袖が長くて手が見えない。
これが所謂萌え袖か!

「昨日体洗ってたらそのまま寝ちゃったから俺の服着せたんだよ。勝手に部屋に入るのも気が引けたしね」

これ、疾風の服か。
こんなにも体格差あったっけ?
……疾風、結構筋肉質だしね。
俺は俺でひょろいし。


「優、動けそう?」

「んーと……まだ無理」

ずれた服を直してもらいながら体を動かそうとしたけどやっぱ腰が怠くて重い。
冷静に思い出せば思い出す程、昨日は無茶したなぁって思う。
3人とヤッたんだよ?
1日に3人となんてもうハーレムルートだよねっ。
エロゲとは若干立場が違うけど!


「やっぱりまだ無理か…じゃあ、ご飯作ってここに運んでくるよ」

「えっ、良いの?」

「良いに決まってるだろ」

くしゃっと頭を撫でてから疾風は立ち上がった。
もしかして、今日も腰に力が入らないって予想して休むって伝えてくれたのかな。
さっすが疾風。
それに今日の疾風は超優しい。
そういえば前にも風邪を引いた時、付きっきりで看病してくれたなぁ。
着替え手伝ってくれたり汗拭いてくれたりお水くれたり世話してくれた。
あの時のお粥、すっごく美味しかったのを覚えてる。

「優、朝ご飯何が良い?」

「お粥!」

「…はいはい」

疾風、一瞬えっ?って顔してた。
でもあの時のお粥の味を思い出したら食べたくなったんだもん。仕方ない。
小さく笑ってから疾風は部屋から出ていった。
お粥、楽しみだなぁ。


 


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