何が悪い! | ナノ
一か八か

 


まだ首を締められてるような錯覚を感じて指先で確認してみる。
当たり前だけど、雨宮さんは離れたから俺の首を押さえてるものはない。
たっ、助かった…!
壁に体重を預けたまま雨宮さんを見たらまだ信じられないって顔してる。
その顔すんの、俺の方だよっ。


首締められながら言った言葉は『女王さまのゆーとぉり!』の台詞。
結構昔に発売されたエロゲの1つ。
雨宮さんはこのゲームのノーマルエンディングの最後の方の台詞を言った。
確か、このゲームって1回ノーマルエンディング迎えたら隠しルートが出てもう少し過激なエッチになるんだけど、ね。
このエロゲ、女の子が全員ドSの女王様なんだけど。
もう凄いよ!鞭でビシバシなんて当たり前でもうありとあらゆる手段で主人公であるM奴隷を調教すんのっ。


つまり、台詞をポロッと言っちゃった雨宮さんは無意識に台詞が出る程やり込んでる。
蓮様の事もうっかり女王様って言ってなかった?
それに犬がどうとかも。

成る程、つまりは


「あ、雨宮さんって、ドM…?」


ビビりながらも真っ直ぐ雨宮さんを見つめて首を傾げたら一層顔が赤くなってる。
図星か。
蓮様はもういかにも女王様だもんね。
多分蓮様以外に彼を満足させれるようなSっ子居ないっぽいな。
まず彼、ドMに見えないし。

「て、てめぇ…!」

顔を赤くしながら睨んでも怖くないよ☆なんて嘘だ。
超怖い…!
怖い人は何しても怖いんだよぉっ!
どうしよっ、秘密を知った以上本気で消されるかもっ!


その時、ふと閃いた。


彼は自分を虐めてくれるであろうドSな蓮様が好き。
つまりさ、俺がドSになったら助かるんじゃね?
顔が良くない人に攻められる屈辱が堪んないとかゲームでも言ってたし!
これはもう、賭けるしかない。


俺に近付いてきた雨宮さんがまた首に手を伸ばそうとしてきたから先に脚を伸ばした。
足の裏で雨宮さんの股間を踏んだらビクッてしてる。
どうしよ、何か楽しいかも?
手を止めて驚いた顔してる雨宮さんを見つめ蓮様の笑い方を思い出しながら口端を吊り上げた。


「汚い手で触るな。この駄犬」


 


[*prev] [next#]
[mokuji]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -