何が悪い! | ナノ


 


何これ超痛い。
痛いって殴られた箇所より口の中が。
もうほっぺは痛みなんか麻痺したよ。感覚ない。
でも口の中は切れたみたいで唾液が染みるし鉄の味するし視界はぼやけるし。
ああ、涙まで出てんのか。
男の子が殴られたぐらいで泣くなって?
痛いんだから仕方ないでしょぉぉっ!!
もうガクブルってるからね俺!!
雨宮さんを見るとかマジ無理!!
顔上げさせられてるから見ちゃうけどっ!

彼、凄く楽しそうな顔してるよ。
純粋にというより歪んだ感じに。
もう俺死んだ。確実に死んだ。
髪を掴まれたまま勢い任せに床に体を押さえ付けられて上に跨がってきた雨宮さんが首を掴んで圧迫してくる。
息出来ないんですけど。
あっれー?俺本気で死んじゃう。

「何で、てめぇなんかが…」

酸欠で二次元の美少女達がお花抱えて走ってる幻覚とコンニチハしてたら絞り出すような声で聞こえた。
ああ、彼は本気で蓮様好きなんだなぁ…。

「俺の方が、良い犬になれんのに…」


……ん?
耳までおかしくなった?
今、犬って言わなかった?

「こんな奴より、俺の方が女王様に尽くしてんに…俺の方が立派な犬になれんのに…」

やっぱり聞き間違いじゃないみたい。
犬って言った上に女王様まで言っちゃったよ。


「ふっ…な、ら…その証を、見せ、なさい…」


首を圧迫されながら無意識に言ってた。
いや、酸欠で頭おかしくなったわけじゃないから!
雨宮くんの台詞を聞いたら自然と出た。
別に挑発して言った訳じゃないよ。
この台詞を聞いた女王様が放った言葉をそのまま言っただけだ。
雨宮さんが驚いたように見下ろしてくる。
もしかして雨宮さん…

「っ…じょ、お、さまの…ゆぅ、と、り…?」


絞り出すように言葉を紡いだら首から手が離れた。
不足してた酸素を一気に取り込んだから肺が痛くて噎せちゃった。
俺、生きてる…!


「なっ、な、何で知って…!」


雨宮さんは手を離したどころか驚きのあまりに俺の上から退いた。
何で知ってるって、そんなの。
エロゲは俺の管轄です。


 


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