声に乗せて | ナノ


 


「千尋はサビのところのサイドが少しずれがちになってるから気ぃ付けろ。真白は言う事ねぇ。燈瑪は少し声が堅い。もっと楽に歌え。あとアキ…てめぇ間違ってんじゃねぇよ」

「あいたたたっ!お姫助けてっ!」


いつも1曲通しで演奏してから帝が指示をする。
帝は絶対音感があるしリズム感もあるから的確に指摘してくれる。
そのお陰で皆上手くなるんだよな。
唯一ミスったアキが蹴られて助けを求められるけど…ミスは駄目だね。

「ミスったアキが悪い」

「だとよ。次ミスったら坊主にするからな」

「嫌だよぅっ!もう絶対ミスらないからっ」

帝の冗談に聞こえないペナルティにアキが半泣きだ。
俺も音程外したりしたら坊主になんのかなぁ。
嫌だ。


「燈瑪ーっ頑張ってねーっ」

ステージから少し離れた所に用意してる椅子に座ってる桜慈の声が聞こえる。
徹も手を振ってくれてる。
陵は…まだ足痺れてんのかソファに寝転がってる。
目の前で練習見られるのは緊張するから少し離れた所で聴いてくれてて有り難い。
桜慈に応援されたし頑張るしかないな!

「頑張るー!」

手を振って答えて帝の方に振り返った。

「次は何にする?」

いつも反省した後直ぐには同じ歌は練習しない。
注意された後に直しても直ぐに注意された所を忘れるから少し時間を空けてから練習するようにしてる。
理由を聞いた時なるほどってなったよ。


「次は…『キャンディー・ポップ』」

帝が言うと笑いそうになったけど堪える。
俺は周りには女と思われてるからたまに可愛らしい名前の歌がある。
これはシンセサイザーを打ち込みで加工した音を主音にしたテクノポップ。
凄く歌詞も可愛いから何か歌うの恥ずかしいんだよね。
ちなみにアキが作りました。アキらしいと言えばアキらしい。
アキがギターを置いて打ち込みの機械を弄って調整する。

「俺、この曲好きー。燈瑪可愛いしー」

離れた所から徹が声を掛けてくる。
歌う前にそんな事言うなよっ!恥ずかしくて歌いにくいっ。

「でしょでしょー?ほらお姫様っ、徹ちゃんもああ言ってんだから可愛く歌ってねー」

アキが更にプレッシャーかけてくるし。
ちょっと声を可愛くするの意識して歌うからほんと恥ずかしいんだけど。
それでも直ぐに演奏が始まったわけで出来るだけ徹の方を見ないで歌った。


 


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