声に乗せて | ナノ


 


ハーブティーも飲み終わった事だし、千尋とステージの方へ戻った。
戻ったけど。
何だろあの状況は。
ソファーに座ってる帝の前で陵が正座してる。
そして後ろの方でアキと徹がニヤニヤしてて桜慈がキラキラしてる。
桜慈以外はちょっと近付きたくない状況だなー。

「ど、どうしたの?」

「あ、燈瑪ーっ。昨日燈瑪にセクハラしたワンコに自称保護者代理の暴君がお仕置きプレイフラグを立ててるところっ」

「「違ぇっ!」」

親指を立てた桜慈が説明してたら帝と陵がすかさずツッコミを入れた。
桜慈の思考に掛かればあの2人もデキてる設定になるのか。

「お前らを宜しくって頼まれたからな。保護者として昨日燈瑪にセクハラしたコイツを厳しく躾けて…桜慈、その気持ち悪ぃ顔は止めろ」

セクハラってあのじゃれ合いの事かな。
そっか、直に触られたらセクハラになんのか。
でもあれぐらい別に…女の子じゃあるまいし。
それに流石に陵が可哀想になってきた。俺の体触ったぐらいで自称保護者に怒られるなんて。

「そんな大袈裟な。ほら、練習しよ」

「燈瑪…待った」

一先ず足痺れてもぞもぞしてる陵を引っ張って立たせようとしたけど…そうだよな、足痺れて立てないよな。
床に片手ついてプルプルしてる。

「大丈夫?」

「大丈夫だから、練習頑張ってこい」

プルプルしてんのに精一杯格好付けようとしてんのが面白くて吹き出しそうになりつつステージの上へと向かった。
いつの間にか皆ステージに上がってて各々にチューニングしたりして準備してる。
ほんと、久し振りだな…。

「燈瑪、先ず何から合わせる?」

さっきとは違ってちゃんと服を着た真白に声を掛けられて少し考える。
曲数が結構あるから迷うなぁ。
何が良いかなー…。


「『舞華』から合わせんぞ」

悩んでたら帝が指示を出した。
結局いつも帝が決めるんだけど助かる。
『舞華』は華が舞い散ると言うより華が舞い踊るような、ノリやすいロック調の歌だ。
そういえばこの曲、一回しか歌った事なかったな。結構好きな曲だからライブでもまた歌いたいな。

「燈瑪、始めんぞ」

帝が声を掛けてくると直ぐに千尋がリズムを取って幾つもの音が重なり合う。
自分の目の前のスタンドに手を添えて俺の声を乗せた。


 


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