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「待っても来ないと思ったら…お前達何やってんの?」
3人に抱き締められたまま何も出来ず大人しくしてたら呆れた声が聞こえた。
声の方を見ると入り口の方でベース担当で徹の兄貴の渡部真白(わたべましろ)がじっと見てる。
どうやら、俺達が着いたのが見えたけどなかなか入ってこないから様子を見に来てくれたらしい。
真白は何だかんだで優しいけどさぁ、
「真白…お願い。服ちゃんと着て」
その格好は酷いよ。
シャツを羽織ってるけどボタンが下の方しかしてなくて胸元が全開。ズボンもちゃんと穿いてなくてフロントも全開だから下着が見えてる。
おまけに、上半身に何か生々しい引っ掻かれたような傷にキスマークっぽいのが転々としてるし。
明らかに、あれだよな。
「ねぇねぇっ、今回の相手はどっちっ?」
「ん?男。もう無理ーとか言って引っ掻かれた」
やっぱり。
昔から真白は節操が無いというか、言い寄ってきたら男女問わずヤッてる。
本人いわく、『誘われて何も答えなかったら勝手に跨がってくる』らしい。
まぁ、真白も美形だからな。そんな事もあるのかもしれない。
「真白っ、内容を詳しく教えてよっ」
「聞いてもいつもとあんま変わんないけど」
目をキラキラさせて桜慈が真白にお願いしてる。桜慈が腐女子への道に目覚めたのはいつもこんな生々しい格好してる真白が原因だと思う。
それに毎回今回の相手はどうだったとか丁寧に桜慈に教えるし…女の子に話す内容じゃないと思うんだけどなー。
「お姫様、行こっ」
「あ、うんっ。ほら陵も」
真白の方に行って目を輝かせてる桜慈の姿ににやけてたらアキに引っ張られた。
危ない危ない、転けそうになったじゃんか。
空いた手でさっきから邪険に扱われてる陵の手を引いて中に向かう。
あ、嬉しそう。いつも不機嫌そうなのに今は良い顔してる。
陵の信者とやらに見せたいな。
「燈瑪の歌、楽しみだなぁっ」
前を歩く徹の言葉に照れ臭く感じながら漸くスタジオの中に入った。
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mokuji]