声に乗せて | ナノ


 


今までもいっぱい帝の思い付きに振り回されたけどさ。
今回の事はせめて当事者の俺に教えろって!
生徒会長が俺ってか姫を?
どうしよ、姫がこんな平凡の男だなんて分かった瞬間殺されるかもしれない。
俺の期待を裏切りやがって!みたいな。
あの会長なら本当にやりそう。

「でも、それと徹の転校って関係あんの?」

「帝さんは大丈夫って言ってるけど念には念をって、兄貴が俺に燈瑪を守れって」

流石真白!
帝のフォローも手慣れたもんだな。
khaosでベースをしてる真白と徹は兄弟だったりする。
そして帝のお守役だ。
この兄弟が手助けしてくれるなら心強い。

「そこで僕が作戦を提案したんだよっ!」

背後から顔を覗き込んできた桜慈が手を上げて褒めてと言わんばかりに笑う。
さっきより少し落ち着いた俺は桜慈の様子が可愛くてデレデレして頭を撫でた。

「名付けて、『姫よりもやっぱり王道転校生が好き』作戦!」

「……んー?」

分かりやすいようで分からない作戦名に首を傾げる。
すると桜慈は目をキラキラさせて話し始めた。

「だぁーかぁーらぁー!姫が好きとか言ってるバ会長の興味を姫から逸らす為に、王道転校生を登場させるの!」

成程!この作戦、桜慈は嬉しそうだなぁ。
やっぱり王道転校生の登場は大切なんだ。可愛いなぁ。
でも、そこで問題が1つ。

「徹はさ、その作戦で良いのか?ほら、現にその…書記にキスされたんだろ?」

放課後に聞いた噂を思い出して首を傾げる。
コラ、桜慈。可愛いけど今は目をキラキラさせちゃ駄目っ。


 


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