声に乗せて | ナノ
緊急事態

 


「俺の、為…?」

徹の言ってる意味が理解しきれなかった。
徹が変装するのが何で俺の為になるんだろ。
桜慈の為なら分かるけど。
王道展開を繰り広げたら喜ぶだろなぁ。
と思って桜慈に視線を向けたら真剣な表情で手招かれた。
徹から離れて桜慈に呼ばれるままに近付くと後ろから抱き締められる体勢で座って首元に吐息を感じる。
桜慈、良い匂いするなぁ、なんて思ってたら陵の手が頭に伸びてきて撫でられる。
本当に、何があるんだろ。

「燈瑪、khaosが復活したのはもう知ってるよな?」

座り直した徹に視線を向けて頷く。

「うん。朝帝からメール来た。」

「復活の理由は、単純に帝さんの思い付きとかじゃないんだ。」


帝の思い付きじゃない…?
何か目的があっての復活とか意味深で怖い。
美形3人が真剣な顔をしてる上に俺が関係してるっぽい雰囲気に自然と体が強張ってしまう。
俺の身体に力が入ってるのが分かったのか桜慈が擦り寄ってくる。


「んじゃ、皆族にいたのは知ってる?」

「まぁ、知ってるよ」


「…その族の二代目でここの生徒会長、北出 仁志(きたで ひとし)がよ、燈瑪を狙ってんだ。」

「何、で…」

「khaosのライブで歌声に惚れたんだとさ。まぁ、燈瑪が姫ってのは気付いてねぇみたい。帝さんがそれを面白がってkhaosの活動を再開させてから1年の間に見つけられたら…姫をやるって」



今までに味わった事が無いほどの眩暈を感じた。


 


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