声に乗せて | ナノ


 


あんな噂ってもしかしなくても徹との噂だよね。
勝手に噂流しちゃった上に自分で自分の首絞めちゃったよなぁ…

「それは、その…クラスの子に聞かれて咄嗟に…徹に気があるって言ったら徹が部屋に来やすいかなって」

「…」

はぁって溜息と共に抱き締めてる腕に力がこもる。
逃がさないと言わんばかりの力で抱き締められたら体に緊張が走った。
やっぱ怒ってるよね。
そのまま大人しく陵の次の行動を待っていたらいきなり耳を噛まれた。
これは予想外過ぎる。

「この噂が原因で万が一燈瑪が姫ってバレそうになったら俺が連れ出して北出から守ってやるから別に良いけどよぉ」

「え…それっていいの?」

「俺は賭けに参加してねぇんだ。ルール違反にはなんねぇだろ」

その発想はなかった。
一応俺達と一緒にいるけど関係ないと言えば関係ない…でも帝の賭けの邪魔して良いのかな。
変に厳しいからなぁ、帝…って考えてたら体が傾いた。
あれ?
俺は何で陵に押し倒されたの?

「陵…?」

「問題は勝手に俺が徹を好きって言った事。俺の好きな奴はただ1人なのにあんな噂…」

「え…ちょっちょっとっ!」

陵の言葉が聞き取れなかった。
何て言ったのか気になるけど今それどころじゃない。
取られたネクタイが床に落ちてシャツのボタンが1つずつ外されてく。
咄嗟に陵の手を掴んだらあまりに格好良く笑うから息を飲んだ。

「燈瑪、勝手な事したからお仕置きな?」

そう言われたら抵抗しちゃいけない気がした。


 


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