声に乗せて | ナノ


 


「今んとこツーストライクだな。あと1つでアウト」


その言葉に俺の口を押さえる手に力が籠る。
これ以上は何も言わないでおこう。
でも黙ってると肯定って事になって…ああどうしよっ!

「お邪魔しますっ!なぁ、今日の噂も作戦なのかっ?俺聞いてねぇ…かっ、勝海っ!?」

「……アウトだ」

「っ、燈瑪っ、下がって…燈瑪っ!」

まさか徹にスペアキーを渡した事が仇となるなんて。
慌てて徹がキャラを作ろうとしてるけどそんなのをお構い無しに南野先輩は立ち上がった。
陵が俺を後ろに隠そうとするよりも先に近付いてきた南野先輩に腕を引かれて引き寄せられた。
このまま会長の元に連れていかれるのかな。
折角色々考えてくれたのにこんなに早くバレるなんて。
ああああ皆ごめんなさいぃぃぃっ!


「………燈瑪、そろそろ思い出せよ」

「え?」

顔を上に上げられて南野先輩が溜息を漏らしてる。
思い出せって言われても…そういえば。
歓迎会の時も思ったけどこの声、どっかで聞いた事ある気がする。
でもいつどこで?

「はぁ。お前が中2の時の冬休みを思い出せ」

「えぇっと……あぁぁっ!!みっ、みっちゃん!?」

「やっと思い出したか」

「燈瑪、どういう事だ?」

「俺も分かんねぇんだけど」

思い出すと南野先輩、改めみっちゃんが優しく笑った。
陵と徹が知らないのも無理ない。
みっちゃんは千尋のお姉さんの子供で俺が中2の冬休みの時に1度だけ練習中のスタジオに遊びに来た。
あの時は金髪だったし髪型も違ったから分かんなかったよ。
その事を説明すると陵と徹は驚いてる。


「こっちは何回か燈瑪に視線送ってたのにお前は全く気付かなかったからな。だから驚かせてみた」

悪びれる事なくみっちゃんは初めて会った時のように優しく笑った。


 


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