声に乗せて | ナノ
回避不可能

 


出来れば聞き間違いであってほしいけど聞き間違いじゃない。
南野先輩ははっきり言った。
『khaosの歌姫』って。
何でバレた?
今日の噂が原因で俺の存在を知るぐらいなら分かるけど、何で姫って事までバレたの?
まさか、佐々木さんが俺の歌声の事を喋って気付いたとか?
この人も『唯我独尊』のメンバーだし。
でも佐々木さんは人との約束を破るような人には見えないし…


「おいおい、そこは違いますーとか何の事ですかーぐらい言っとけよ。黙ってると肯定って事になるぞ」

「え?……あっ!」

そ、そうか!
まずは否定すれば良かったのか…!
でも結構黙ってたし今から否定しても遅い…よね。
南野先輩、すごく楽しそうな顔してる。
どうしよ、このまま会長にバラされちゃうのかな?
もしかしたらもう報告済みとか!?
どっどどどうしよ!俺が姫ってバレたら会長に何されるかっ…無事生きてる保証なんてない!
だって会長はっ…
自分の今後を考えて血の気が引いてきた時、ガチャって荒々しくドアが開く音が聞こえた。


「燈瑪っ、あの噂は一体っ…何でてめぇがいるんだよ」

「よっ、風紀委員長殿。俺はkhaosの歌姫に用があって来てんだよ」

陵が帰ってきて助かった!
1対1だったら勝てる気がしなかったからほんと助かった!
南野先輩の言葉を聞くなり陵は俺を庇うように抱き寄せる。
本当に今日は何から何までごめんなさい。

「美しい兄弟愛だな。あ、でも本当は兄弟じゃないんだっけ?歌姫様は帝さんのいとこであの白桜の君の双子の兄貴だもんな」

「な、んで知って…」

「馬鹿っ、言うなっ」

驚いてしらを切るのを忘れて思わず問い掛けようとしたら陵の手で口を覆われた。
またやっちゃった。
でも、本当に何でそこまで知ってんの?
データは全部変わってる筈なのに。


 


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