時代
時代は川のように流れていく。
時は傷を癒すものでもあるが、悪化させることもある。
顔にあたると危ないよ、石が。
そんなこと言われたって上を向けやしない。
外れちゃった、小さい石は当たりにくいな。
大きい石は危ないでしょう。
あたったら怪我しちゃう。
泣いて拒否すると相手を挑発してるのと同じ。
でも涙が流れていく。
次の日はトイレのゴミ箱から私の帽子が発見された。
しかも見つけてくれたのは主犯のあの人。
驚きのあまり、という感じだった。
次の日は私の上履きが運動場の真ん中に落ちてた。
ひとりでに歩いていったのかな。
まさか、馬鹿馬鹿しい。
陰で指を指されて笑われている。
考えるのはやめようと思った。
でもそれは至難の技みたい、私にとって。
胸にある傷が少しずつ侵食していく。
紙切れに火をつけたみたい。
時が流れても傷は大きくなるばかりだった。
もともと心が強いわけじゃないから。
こんなことでも大きな傷をうけてしまうの。
次第に顔も見れなくなって、出られなくなった。
泣いてばかりだった。
目が腫れた。
顔が腫れた。
親の目も腫れたみたいだ。
終
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