04 | ナノ

04

「あの」

「なーに?」

「結局、なんできみはここにいるんです?」


口いっぱいに頬張ったパンを咀嚼してから、眉をひそめこちらを見つめる骸クンを見つめ返す。
実は、理由を深く考えていなかった。だって絶対ばれると思ってたし。ただこの姿を見せてどんな反応をするか見たかっただけだし。
しかしその反応は結果として不快になるものだった。
今更、カミングアウトするのもなんだか癪だ。それならいっそこの姿のまま傍にいて、愛されるのも悪くはないのかもしれない。


骸に愛される。
それがどれほどの意味を持つだろう。


「…んとね、白蘭はしばらくしごとがいそがしいから、僕に骸クンのめんどうをみててって」

「ほう?」

「いーよね?」

「僕に拒否権はないような気がするのですが」


苦笑する骸クンは、優しい。
きっとこれを「白蘭」が言ったら、もともとお前に面倒を見てもらっていた覚えなどない、必要ない、などと言われるに違いない。

白蘭の意思は固まっていくばかりだった。


「だから、よろしくね」

「此方こそ」




でも、笑顔を見て一々胸が痛むのには慣れそうにもない。


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