徒然なるままに
中心



紅了[少年漫画における主人公とライバルのような]( 本誌ネタバレ)



――朝。

「せーんぱい!」

 僕の後ろから何者かの声が聞こえてきた。
 一応、僕も先輩、と呼ばれても可笑しくない立場ではあるが、僕相手にここまで甘さを含めた呼び方をするような相手と言うのは心当たりがない。

「山本か!どうしたどうした」

 山本武が了平を呼ぶ声だった。了平もまた素直に応じる。
 ――見ていてイライラする。


――中休み。

 結局、理解出来ん授業だった、と、白い粉の残る黒板を見上げた。

「おい、芝生頭!」

 獄寺隼人が了平を呼ぶ声だった(貴様は先輩に敬語すらも使えんのか、結局礼儀知らずな奴だ)。

「どうした、タコ頭」

 可笑しなニックネームで呼び合っている奴らだ。了平はまたもや普通に後輩に接する(と言うか、結局貴様が後輩指導を怠るからそのような変なニックネームを付けられるのだ!)。
――何となく授業以上に理解出来ない物をまのあたりにしている気分になった。寝る。


――昼。

「あのう、すみません……、お兄さん、良いですか」

 また、了平を呼ぶ声。今度は沢田綱吉だ。しかし、貴様らに血縁関係など無いだろう?なぜ、お兄さん等と親しげに呼ぶのだ!納得いかん!

「ん、沢田。パオパオ師匠から伝言でもあったのか」

 当たり前のように受け入れるな、了平!
――矢張り、イライラするし、頭痛もするので寝る。

――放課後。

「紅葉!」

 了平はそんな名前ではないぞ、――と内心呟いたが直ぐ気付いた。

「ん、僕の事を呼んだのか」
「青葉紅葉なんて極限矛盾した名前はお前だけだろう!」

 ドワッハハハ。豪快に笑いだした相手にカチン。

「なんと!貴様は結局、画数が少なく軟弱な名前ではないか!」
「何だと、紅葉!」
「何とでも言え、了平!」

 事もあろうが、僕は気付いてしまった(結局、僕は聡明だったということだな)。
 了平をこんなにも名前で呼べるのは奴の学友では僕位では無かろうかと。そして、了平に名前を呼んでもらえるのも僕位では無かろうかと。
――行き場の無かったイライラはいつの間にか消え失せていた。

「いや、結局、了平と言うのも良い名前かもしれん」
「ん? お、おお、ありがとう、紅葉」


*本誌でこの二人は見せ付けてるのか!っていうくらいにお互いの名前を呼びすぎでした。お疲れさま!2010年10月9日(土)





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