「
いとこ以上、」
なあ、いとこって結婚できるらしいぞ
◆お盆
あー、気付かなかった。
そうだよな。
寂しいよな。
お盆で一日だけ泊まりに来ていた早苗おばちゃんが乗った電車を見送る勇気の顔に、はっとした。
別に、泣いたりしてたわけじゃないけど。
バイバイって手を振ってる時も笑顔だったけど。
電車が見えなくなるまで、じっと動かずに無表情でそっちを見てた。
早苗おばちゃんが来た時の嬉しそうな顔とか、焼けたねって頭をぐりぐりされてた時の恥ずかしそうな顔とか。
宿題終わったよって自慢げに報告してたり、お祭りの話を目をキラキラさせて話したり。
あっという間の二日間との落差に驚いて。
ああ、勇気はずっと寂しかったんだなって、オレが泣きそうになった。
勇気は泣いてないのに。
変なの。
オレがいるから、寂しくなんてない、なんてちょっと思ったけど。
ずっと母ちゃんも父ちゃんもいなかったら、……オレも寂しいと思うし。
何か悔しいけど、オレじゃあんなにキラキラした顔させてやれねえよな。
「……正義?」
「ん?」
「え、と……手?」
夜、並んで寝そべる勇気の手をぎゅっと握った。
隣の顔がこっちを見て不思議そうにしている。
ちょっと恥ずかしいけど。
「。おやすみ」
でも、今日は、こうして寝ようと思う。
こうして寝たい。
ここにいて欲しい。
勇気と一緒だと楽しいから。
それは、きっとオレのワガママなんだ。
勇気は、きっと家に帰りたい筈だ。
だから、いて欲しいなんて思っちゃうオレは、ひでえよな。
「おやすみ」
勇気がぎゅって手を握り返してくれた。
それだけで、苦しかったのが、楽になったから不思議だ。
◇ ◇
起きたら正義にぎゅって抱きつかれて、本当にびっくりした。
あったかい正義とくっつているとちょっと暑かったけど、昨日の夜の手のあったかさを思い出して胸がほっこりとする。
正義は優しいから、オレが寂しいのに気付いて慰めてくれたのかな。