いとこ以上、
なあ、いとこって結婚できるらしいぞ
◆夏祭り

やべー。
超楽しい。

祭り、さいこー。
勇気効果、すげー。


神輿で練り歩く時に、よたよたしてた勇気には心配したけど。
汗びっしょりになりながら、楽しいって笑うから、俺も超笑顔。
ジュースを冷やしてた水から氷を取って勇気の首から服の中に入れてやった。
顔を真っ赤にして怒ってたけど、うひゃあ……! って変な声出したから、きっとそれが恥ずかしかったんだろう。
そのあとやり返されたし。
おあいこだ。


家に帰ってご飯を食べてから、昼寝をさせられた。
朝から歩き通しなんだから寝ないなら夕方外出禁止! と母ちゃんに脅されて仕方なく。

だって、夕方からが楽しいんじゃん?
外出禁止とかそりゃねえよ。


日暮のひよひよ言う声を聞きながら、伸びた影を踏んで神社に向かった。

祭りの神社は参道が長くて、そこに屋台が出る。
道が狭いから歩くのが大変なんだよな。

「はい」

「? なに?」

「手」

「?」

隣を歩いていた勇気に手を差し出す。
俺の手のひらを見つめた勇気が、ちょこんと首を傾げた。

「繋ぐ。はぐれるから」

「え……」

「ほら」

「わっ」

何か答える前に勇気の手首をつかんで走りだす。
なんか、ちょっと恥ずかしくて、勇気の顔を見られないから、意味もなく走る。
でも、あんまり足が速くない勇気をこけさせたくはないから、加減して、だけど。

「まって」

「……ん、ごめん……」

勇気がもう片方の手で俺の腕を掴んで少し引っ張った。

……やっぱり、嫌、だったかな……?
足を止めて、掴んだ白くて細い手首を離しながら振り返る。
そうしたら、勇気の顔が真っ赤になってた。

「……正義なんで赤いの」

「え? いや、勇気が赤いんだろ」

「うそ……。……夕日、のせいじゃない」

ぺたぺたと顔を触る勇気を笑うと、勇気が舌を出して、べーっと顔を歪めた。
なんだよ、その顔。
可愛いじゃん。

「!」

「普通につなご」

するりと、少し冷たい手が俺の手を掴んで、きゅっと握った。
ねっ? っとはにかんだ様に笑う勇気の顔はやっぱりちょっと赤くて、本当に夕日のせいなのかな、って、オレの顔が赤いのは多分、夕日のせいじゃねえよ、って思った。



 ◇  ◇



オレたちの先を歩く影が、手をつないでる。
仲が良さそうだなって思ったら、何だかおなかの辺りがくすぐったかった。

影よりきっと、オレたちのが、仲、いいからね。


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