いとこ以上、
なあ、いとこって結婚できるらしいぞ
◇夏祭り

明日は祭りだな、って正義が嬉しそうに言った。

あ、そうなんだ?
近々に祭りがあるのは知っていたけど、明日だったんだ。

ちょっとだけ複雑に思いながらも、うん、と応える。
嬉しそうな正義の顔を曇らせるのは嫌だから。

「オレら、神輿担ぐんだぜ」

「へえ! 凄いね」

「勇気も一緒にやるだろ?」

「!」

にかっと白い歯を見せる正義に、ドキンとする。
一緒にって誘ってくれたのが嬉しい。
でも……。

「オレやっていいの?」

「え?」

「だって、ここの子供じゃないし」

「ん……と? 父ちゃん?」

正義が困ったように叔父さんを見た。

その顔に、オレの気持ちも萎んでしまう。
折角誘ってくれたのに、変な事言っちゃったかな。
さっきまでにこにこ笑ってたのに、オレの所為で、その笑顔が消えちゃった。

「うーん、大丈夫じゃないかな? ここは早苗ちゃんの実家な訳だし」

「! ほんと!?」

「大丈夫でしょ。今年の役員にお姉ちゃんの友達何人もいるし」

「うっしゃ!! だって! やったな勇気!」

オレの事なのに、ガッツポーズまでして喜んでくれる正義に、嬉しくなる。
顔が熱くって、ドキドキして、凄く楽しみになってきた。

「うん。頑張る」

「おう! 途中でアイスとかタダで貰えるんだぜ!」

「あんたは、それが目的なの?」

「うへへ〜。ガリガリくんグレープあるかなあ〜」

はしゃぐ正義は、飯の時くらいちっとは静かにできんのか、とじいちゃんに怒られるまで、祭りの楽しさを熱弁してくれた。
その顔が、凄く嬉しそうで、それを見ているだけでオレも楽しくて。
静かになった正義がこっそりペロリと舌を出すから、ぷって噴き出しちゃった。


それから寝る寸前まで、ずっと正義はお祭りについて教えてくれた。
正義のわくわくが移っちゃったのか、オレも物凄くわくわくしてきて中々眠れなかった。

遅くまで話していたから、杜萌おばちゃんに怒られちゃった。



 ◇  ◇



明日は、神輿を担いで小遣いをもらったら、神社の前に出る夜店に行こう。
少しだけど打ち上げ花火もあるし、あ、商店で売ってる花火買って勇気とやろう。
勇気なら、花火が綺麗に見える秘密の場所を教えてもいい。

毎年祭りは楽しみだけど、今年はいつも以上に楽しみだ。

勇気が楽しんでくれるといいな。
それで、たくさん笑う顔が見えたらいい。


早く明日にならないかな。


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