「
いとこ以上、」
なあ、いとこって結婚できるらしいぞ
◇宿題
鳥と蝉に起こされた。
明るい。
朝の涼しい空気が気持ちいい。
隣で大の字になってすかすかと寝息をたてる正義の体は、布団から半分はみ出ている。
相手が寝ているのを良いことに顔をのぞき込んだ。
日焼けした顔。
おでこに白い部分がある。
擦りむいたのかな。
良く見れはいろんな所に傷跡があって、流石は正義だと頼もしく思える。
……坊主って、格好良いんだな。
誤魔化しがきかない分、格好良いと更に格好良く見える。
ぐっすり寝ている正義は、良くできた人形みたいだ。
……触りたい。
じっと見ていると、どうしてかそんな気分になってきた。
変なの。
「……ふふ」
口がむにむにと動いた。
薄い唇がむーっと突き出されて、なんか可愛い。
兄弟もいないから、人の寝顔なんてこんなにちゃんと見た事なかった気がする。
不思議だ。
少しも見飽きない。
投げ出された腕に、指の先でちょっぴり触れてみた。
昨日、川で触れた日に焼けた腕。
「…………」
やっぱり、凄くあったかい。
太陽みたいだ。
こっそり触ったからかな?
ドキドキする。
悪い事した訳じゃないのに。
ママに嘘をつくときくらい、ドキドキしてる。
「……!」
台所の方から杜萌おばちゃんの笑い声が聞こえた。
心臓がぎゅっとして寿命が縮んだ気がする。
多分、一年くらいは縮んだ。
……宿題、しよう。
ママと約束したんだ。
ばあちゃんちに来てても、ちゃんと宿題やるって。
蚊帳をくぐって、部屋の隅に寄せた机の上に夏休みのともとドリルと筆箱を並べた。
「あれ、勇気はもう起きてたの?」
「あ、おはようございます」
ばあちゃんの声に顔をあげると、いい子だねぇ、と誉められた。
「正義起こすの手伝ってくれる?」
「うん」
正義は、ばあちゃんが敷き布団を引き抜いても、耳元で大きな声で呼んでも全然起きなくてびっくりした。
なんだ。
だったらもうちょっと触っても起きなかったかな。
あれ……。
なんか変だ。
変なこと考えてる。
やっと目を覚ました正義におはようって言われたのに、オレ、ちゃんとおはようって言えなかった。
◇ ◇
目を覚ますと勇気がオレを見てた。
隣でばあちゃんが怒ってる。
勇気は早起きして宿題をやってたらしい。
オレ、超かっこ悪い 。
勇気にあきれられたっぽい気がする。
へこむわ。