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みんなのうたうたい

ふるさと

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#童謡からの自分的小説
より転載。加筆。

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兎追いしかの山。
小鮒釣りしかの川。


さて、今日はどこで誰と戯れていたのやら。

明け方にベッドに潜り込んできた男の、未だに起きる気配のない寝顔を睨みつける。


昨日も、一昨日も、その前も。
もういつからだったか忘れてしまったけれど、ずっとこんな調子だ。


なあ?
俺さ、お前の事好きなのかな?
お前は俺のこと、好きなのかな?


「はっ」


なんで、帰って来るんだよ?

深夜か、明け方か、必ずこの男は、俺の部屋に帰ってくる。
そして寝たふりをした俺の隣に潜り込んで言うんだ。

『ただいま。……オヤスミ、愛してるよ』


なあ?
なんで帰ってくるの?

帰ってこなければ、いいのに。
そうしたら、俺は大手を振ってこの部屋から出て行って、この男のいない所に行けるのに。


「……ムカつく」


おもむろに露わにさせた下半身に、油性インキが滲むペン先を近づけた。

この体の熱を、すっかり忘れてしまった。
どうやって、俺を愛してくれたかなんて、忘れてしまった。


……忘れて。


忘れたいのに。


「ムカつく」


そっとペン先を動かす。

うん……意外とうまく書けた。


へそのすぐ下に黒々と主張する文字を見下ろして、満足感に微笑みが漏れた。


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