死神の帰る場所
企画
若返らせてみよう 23歳×23歳

治仁 23歳
藤本 36歳−13
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もう一回!
も一回、やろう!
ドングリ眼がキラリと輝く。
興奮で紅潮した頬。
額にはジワリと汗が滲んでいる。

無邪気さは罪だと言えよう。

治仁は、正面の笑顔を愉快そうに見つめた──とは言え、いつも通りの無表情なのだけれど。

藤本に誘っているつもりはないのだろうことは理解できる。
その上で発せられた際どい台詞と、情事を思わせる表情。
至近距離からの体臭が、治仁の劣情を刺激しているとは欠片も想像しないのだろう。
そしてまた、分かっているのに反応してしまう己の欲望。
それらが愉快で仕方ない。

「……」

頷けば、破顔した藤本が机に肘を付けた右手を差し出した。
その手を素直に握る。

「Set up」

ふんふん、と藤本の鼻息が荒くなる。
愉快だ。

「Ready go」

ぐっと力の入ったお互いの腕に筋肉が盛り上がる。

何故か始まってしまったアームレスリング勝負。
勝敗は五分五分で、どうやら藤本のお気に召したらしい。
治仁はすでに、これが何回目の勝負なのかわからなくなっていた。

「っ!! ぐあああああああ! まけたあああ!」

赤い顔を益々赤くさせて、藤本が悔しげに声を上げた。
勝敗の行方ではなく、それに一喜一憂する藤本の様子を楽しんでいた治仁の顔も僅かに綻ぶ。

目の前の恋人が、喜びの顔も悪くないが、悔しげに歪んだ顔が良い、なんて物騒なことを考えているとは露知らず、興奮さめやらずといった体の藤本が治仁の腕に触れた。

「治仁くん……思ったより強かった……!」

「うん」

「負けないと思ったのになあ。この腕のどこにあんな力があるんだろう……?」

ぺたぺたと二の腕を撫でていたかと思えば、むにむにと揉む。
自分の腕と太さを比べては首を傾げる。
横に並んだ二人の腕は、藤本の方が二回りほども太い。

「うわ、長さ……」

そこではない部分にショックを受けたらしい藤本が、眉間にしわを寄せた。
ぷくりと膨らんでしまった頬を、治仁の指が摘む。

「もう一回?」

「! やる!」

普段もこんな風に即答してくれたらいいのにという思いが過ぎって、治仁はニヤリと口をゆがめた。



……御感想は?

「もう! すっごく楽しかった! またしたい!」

「……楽しかった」


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